H×H
□秘密基地
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ああ、
なんて、最悪なんだろう。
アルバイトの帰り、マンションから約1km離れた公園を横切る最中、降り出した雨粒を感じて、そう思った。
水滴の発生源を追って、見上げた空は、暗く、重い。質量を持ったみたいだ。灰色の雲は、ふわふわして、腕を突っ込んでみたい、なんて思ってしまう。
でも、あの色の雲は、体内にとんでもない武器を隠し持っていることを、私は知っている。
大きく息を吐いて、私は走りだした。
雨で重さが増した服を、玄関で脱ぎ散らかして、廊下を歩く。
本当は、濡れた髪の毛も取り外したかったんだけど、それは無理だからね。仕方がない。
バスルームが、玄関から近くて、良かった。
下着姿のまま、脱衣場へ向かう。私が歩いた跡は、点々と水滴が残っていた。まあ、いいや。溜息を一つ。早く、シャワーを浴びないと。
こんな格好、キルアに見られたら、なに言われるか分かったもんじゃないけれど、こんな日に限って、あの子はいない。
寮住まいのゴンくんたちと、男の子だけの宴会を開くと言っていた。
レオリオもいるし、そろそろアルコールが入っている頃かな。
ああ、いけない、いけない、冷えてきた。
背中の辺りから沸き上がる震えを感じて、私はシャワーから熱いお湯をひっ被った。
頭から背中に掛けて伝うお湯が、体温が奪われた肌に心地いい。
いつまでも、この感覚に浸っていたいけど、そういうわけにも、いかないんだよね。
さあ、最悪に極悪が重なる前に、部屋に避難しなきゃ。