H×H
□sweet smelling cat
2ページ/2ページ
いつものシャンプーと、お菓子とジュースとチョコロボくんを買ってきて、漸く私は一息つけた。
シャツを着ないままで待っていたキルアは、新しいシャンプーを一緒にして、バスルームに放り込んでやった。
風邪ひかれたら、たまんないし。
そんなに興味を引かれないバラエティ番組を眺めながら、お菓子の袋を大きい順に並べてみる。
全てのお菓子を並べ終えたとき、キルアがさくらんぼの匂いを漂わせて、リビングに入ってきた。
頭から掛けたタオルを見て、私はにっこり笑って、キルアにおいでおいでをする。
気分の良いときのネコみたいに、キルアは、ソファに座る私の足元の床に腰を下ろした。
そんなに高くはないこのソファだと、キルアの頭は、私の胸辺りの高さになる。
私はキルアの肩を後ろから抱き締めて、空気を鼻で吸い込んでみる。
甘酸っぱいシャンプーの香りが、私の嗅覚を爽やかに刺激した。
「レインってさ、俺が髪洗ったあと、絶対こうするよね」
『ん、いや?』
「いやじゃないけど」と呟くキルアのタオルを手に取って、髪の毛を拭いてやる。
キルアの髪の毛は柔らかくて、さくらんぼの匂いのする、花びらみたいだ。
『いいじゃない。折角買ってきたんだもん。
このシャンプーの匂い、好き』
手を止めて、もう一度、抱き締める。
「俺も」
『ん?』
「俺も好きだよ」
頬を赤らめて言うキルアに、私の口角が自然に上がる。
テレビは、いつのまにか、ドラマのオープニングを奏でていた。