H×H

□Keep to your point
1ページ/1ページ





『ああ〜、可愛いなあ』


 二人掛けソファーを半分こする小さな相方の額を撫でながら、私はうっとりと呟いた。
 人差し指で眉間を軽くこすってやると、相方はゴロゴロと喉を鳴らして首を反らす。次は喉を撫でろってことらしい。良いですよ、撫でてあげますよ。ほら、ぐりぐり。


「なにをしているのだ、レイン」


 肘掛け越しに私を背中から抱き締めて、クラピカが言った。


『##NAME2##が可愛いんだよ。ほらほらあ』


 首を撫でているうちに仰向けになった##NAME2##。猫の可愛いポーズ最終形態。白いもふもふのお腹に掌を添わせて優しく揉むと、部屋全体に広がる##NAME2##の喉の音。

 あああ、顔がの筋肉が弛む。


「よく懐いたな」

『毎日撫でてるもん。眉間の辺りが好きみたいだよ』


 一人分のスペースを占拠している##NAME2##のおでこを、人差し指の先でかりかり。仰向けのままの##NAME2##は、おでこの感覚に集中してるみたい。目を細めて、人差し指に額を擦り付けておねだり。か、可愛い。


「ここか?」


 そう言って、クラピカは私の背後から手を伸ばした。クラピカの繊やかな指先が##NAME2##の額の毛を擽ると、##NAME2##は手足を投げ出して横這いになる。リラックスしているみたい。


「こいつ‥‥私にはいつも警戒していた癖に」

『クラピカ、撫でないからだよ。眉間てね、猫のツボなんだって。神経が集中してるらしいよ』

「成る程」


 クラピカは呟くと、##NAME2##を弄るのをやめてしまう。代わりに、私の耳朶をぱくり。


『ひぁっ!?!』


 びっくりした私はソファーの上でとび跳ねる。スプリングの所為もあって、思ったよりも高さが出てしまった。


「過剰反応ではないか?」

『それだけ驚いたってことだよっ!なにするのっ!』

「ん、レインのツボを確認しようと思ってな」


 クラピカの唇はそのまま私の首筋に降りる。優しく温かい感触が、痺れに似た感覚を生み出した。ぞくぞく。

「この辺りか」探るようにクラピカが一点を舐め上げる。

『んやぁっ‥‥』

 そこから伝達される信号は、私の脳内電流を混線させるには充分。おかげで私の思考と行動は一時停止を余儀なくされる。余儀なくって使い方合ってる?


「相変わらず、耳と首が弱いな」

『分かってるなら、確認の必要なん‥‥てっ!』

「うるさい」


 私が抗議の声を上げると、クラピカは私の顎を無理矢理掴んで強引にキス。しまった、口閉じる隙がなかった。


『んん〜‥‥ん、はぁっ‥‥ふ‥んっ、んっ‥‥』


 開いたままの唇に割り込んだクラピカの舌が、私の啌内を丁寧になぞる。歯列も口蓋も舌も、全部私の弱点なのに。

 クラピカの温かい舌の感触に、意識すら保持出来なくなる。手足の筋肉は弛緩して、心臓だけが異常な速度で働いていた。待って待って、今そんなに血液を送ったって、酸欠で脳は働けない。余ったエネルギーが熱になって、その熱さにまた浮かされる。これ以上は熱故障を起こしちゃう。


『ふぁっ‥‥‥はあっ!』

「‥‥‥ん」


 漸く解放されたと思ったら、正面に回り込んだクラピカが、私の背中を背凭れに押し付ける。背凭れとクラピカに挟まれて、私の身体は完全にクラピカの支配下。


 もう一度唇にキスをして、クラピカが笑った。


「さすがに、ここはツボだらけだな」




 壊れていく意識のなか、猫の鳴き声が聞こえた気がした。






end

 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ