だから祈るの
貴方のために
謳うように
眠るように
叶いますように
雑踏に吸い込まれる歌を追うように、空を見上げた。
「クラピカ、交代よ」
「あ、ああ、センリツか」
「どうしたの、ぼーっとしちゃって?」
「いや、歌がな」
「歌?」
「さっきから、流れてる」
「ああ、あのビルの街頭スクリーンよ。会社が売り出したいミュージシャンとかをピックアップして流してたりするの」
「この歌は?」
「ニューリリースのシングルよ。タイトルは、確か“祈り”」
「いや、そうではなく、このシンガーは」
「ああ、##NAME2##ていう、駆け出しのアイドルよ。珍しいわね、アイドルに興味を持つの」
「いや、声が」
「声?」
「レインに似ている」
「あ、ああ、まあ、そうね。そう聞こえなくもないわね」
「‥‥‥なんだその顔は」
「いえいえ、もとから私はこんな顔よ?」
「‥‥‥まあ、いい。交代の時間だったな」
「ええ、ボスのワガママにバショウが泡を吹きかけてるわ」
「ならば急いで行ってやるか」
「そうね、早く終わらせて帰りたいわね」
「だがその為には、ボスがつまらん賭け事に飽きないことにはな」
「それか、ボスの全お小遣いを使いきる方が先かしら」
「‥‥‥そうなる前に宥めてくれ」
だから祈るの
貴方のために
謳うように
眠るように
叶いますように
end