六つ目の物語

□第27憑目
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狗神の世話はコックリに任せ、俺は信楽の世話をすることになった


「──…にしても、狗神は可愛くなったのに信楽は可愛げねぇな」

「おれだってこんなかっこーいやだい」


信楽の頭からはえた狸耳を弄る
ピクピク震えるの面白ぇ


ぐぅ〜

「…取り合えずミルクかな」


先程昼時にも関わらず何も食べずに出掛けようとした信楽の腹から盛大な音が鳴った
狗神のミルクを貰うとしよう




夕方からのバイトの事を考えながらミルクを作る

バイトどうしよっかなぁ
取り合えず今日はコックリに任せて、明日からはバイト休むか…
学校もあるし一日中コックリに預けておいたらコックリが過労死しそうだしな

ミルクが人肌の温度になったので、信楽の口にくわえられているおしゃぶりを外す


「おらミルク」

「こなミルクよりぼにゅーがほちい「黙って飲め!」」


変態発言をしてくる信楽の口を黙らす為に、哺乳瓶を信楽の口に突っ込む


「今度変なこと行ったらコックリに任せるから」

「うぇ、キツネはいやだ」


信楽は大人しくミルクを飲み始めるが、哺乳瓶が重たすぎて飲みにくそうにしている


「はぁ…
仕方ねぇから貸せ」

「あん?」


信楽から哺乳瓶を奪い取り、信楽を片腕で抱いてミルクを飲ませる


「んくんく」

「信楽も黙ってりゃちょっとは可愛いかも…」


狗神もミルク時だけなら世話してみたいかも…と俺は思ってしまった





ミルクを飲み終わり、信楽を縦に抱いて背中を叩く
ゲップをして口からミルクが出たのでタオルで拭く


「んぶっ。もうちょっとやさしくふいてくんねぇか?いたいんだが」

「あ、ごめん」


力を抜いて口を拭く

赤ん坊に対しての力の加減がよくわからない
いつもの信楽だったら俺が本気出して叩いてもマッサージくらいにしか思ってないようで、笑って止めようとするが、今の信楽は眉間に皺寄せて嫌がっている


「あーあさけのみてーなぁ」

「死ぬぞ」


赤ん坊に酒なんて飲ませたら速攻アルコール中毒であの世逝きだ

抱っこしながら自室へと向かう


「バイト先に電話してバイトの数減らして貰っから大人しくしてろよ」

「おぅ…」

「ん?」


覇気のない返事が帰って来たので信楽を見ると信楽はウトウトしていた
頭が上がったり下がったりするので俺の肩に頭を凭(モタ)れさせる


「昼寝か?」

「あぁ…ねむくて、ねむくて…」


それだけ言って本格的に寝てしまった
寝てしまった事により少し重たくなった




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