六つ目の物語

□第26憑目
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バイトが遅くなり、狗神の後に風呂に入っていた

風呂から出て台所へ水を飲みに行こうとしたら、こひなが食器棚の上で寝ていた


「…」


何してんの?


「我が妹よ、そこは汚いから降りてきなさい」

「小さいお子さんの手の届かない所へ置いてください」

「子供?」


子供なんて俺かこひなしかいねーじゃん


「名無しさん、下下
乗ってる」

「うおっ!」


俺の下には赤ん坊がいた
どうやら俺は気付かずに乗っていたみたいだ


「ごめんな!俺重かったろ!?」

「ばぶぅ

ハアハア…(名無しさん様の土台になれるなら本望です)」

「……この子孤児に出そうか」


狗神にそっくりな赤ん坊が変態的な顔をしていた


コックリに聞くと、やはりこの赤ん坊は狗神で、コックリが買った若返りの水を飲んでしまったらしい


「コックリは年のことしか考えねぇな」

「俺はピッチピチでいたいの!」

「その発言が年臭ぇ」


脚立に乗ってこひなを食器棚から降ろす
少し暴れるので大変だったぜ…


「自業自得だぜ、狗神」

「ばぶ」

「キツネのモン勝手に飲んだ罰だ。悔い改めな」

「チッ」

「信楽いいぞ!もっと言ってやれ!」


台所と廊下を挟んだところにある暖簾の向こう側から信楽が狗神を責める
コックリも自分の物を飲まれたから信楽に便乗する


信楽が暖簾を手で退かして入ってくる


「全く自業自得だぜ…」


信楽の登場で、ちま〜んとした音がした気がする

信楽も小さくなっていた


「信楽お前もか」

「俺と同じくらいの身長になってんな」


ホントは俺の方が小さいが、そんなこと言いたくねー


「こんな身体じゃ、十八禁のお店に行けねー!」

「テメーこそ、悔い改めろい!」

「じ、十八禁…」


信楽はそんなとこ行ってんのか…
本屋の十八禁コーナーは中学生の最も行きたいけど行けない悔しい場所だと思う





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