六つ目の物語
□第25憑目
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コックリに追い付き、スーパーで野菜やカップ麺を買った
ちょくちょくあの人相描きの紙にあった人みたいなヤツを探しながらまた山へと戻っている途中
「紅葉は楓の木霊だ」
「……」
「町中でファンタジーな発言はお控えください」
コックリのヤツバカだな
町中でいきなりのコックリの発言に呆れながら前だけを見て歩く
「何て言うか、ピースが揃う感じで閃いたね。
や、紅葉が木霊なら全ての説明がつく。遠くに行けないのも木の精だからだ。楓が赤いのも木霊憑きの木だからな」
「ならいつかバラバラになるぞ」
「は?」
「お前のうざい話を聞くの500円で身代わったが、クソつまんねー!」
「「ええ!?」」
いつの間にかこひなの格好した信楽が、俺とコックリの間にいた
こひなはちょっと離れていたところで黒猫と戯れていた
無邪気なこひなが可愛い…
黒猫がいなくなると、こひなもやっと俺達の元へ戻ってきた
「待ち人どう探すのです?」
「んー…どうすっかなぁ…」
「何々?」
さっき来てばかりの信楽は事情が読めないらしく、こひなが斯々然々(カクカクシカジカ)で信楽に教える
便利な言葉だよな
たった4文字で全て伝わるんだぜ
「おじさんに任せときな
山であった出来事なら、何でも知ってる山の神に聞けばいい」
山の神って何だっけ…
──────
信楽に連れて来られたのは、木の上に建たれた秘密基地みたいな家だった
木の上に住んでるってことは飛べるのか
家には"てんぐ"と書かれていて、中にはコックリアニマルバージョンの同じくらいの大きさの天狗がいた
どうやらこの姿は本来の姿ではなく、ちっこくなっているみたいだ
「天狗ー!」
「ショタじゃないか!」
信楽の言葉を無視し、俺を見て狗神みたいにハァハァしだした
「何だコイツ!」
「あー忘れてたぜ
天狗は無類のショタコンだ」
「信楽の女好きと同じか」
天狗が俺の周りを飛び回る
どーにかしてくれ…
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