六つ目の物語

□第24憑目
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休みの日に、隣町のスーパーのカップ麺が特売で売っているということで、俺とこひなとコックリ(狗神は家出中)は隣町に行くべく、町と町の間にある峠を越えていた


「紅葉なのです」

「うわ!真っ赤だ、スゲー!」

「真冬だってのに珍しいな」


周りの木は幹や枝のみで、全て葉が落ち土の養分となっている
だが楓の葉…紅葉はまだ真っ赤で落ちてばかりのような色をしている


「真冬に全裸で鈴だけの大人も珍しいのです」


思わずコックリアニマルバージョンの身体を見てしまう

確かに毛があるけど全裸だ


「よせ!露出してるみたいに言うな!」

「想像しちゃった俺に謝ってくんない?コックリ」

「俺のせいじゃねーよ!」


いや、全裸なお前のせいだろ


「しかし、この紅葉どこから…」


コックリが紅葉の匂いを嗅いで、あっちから楓の匂いがするとそっちに行ってしまう

俺とこひなは興味ないので隣町に行こうとする
だが、コックリ人間バージョンによって、引きずられて楓の木に連れてかれた





コックリに連れて行かれたらホントに真っ赤な楓の木があった

ひらひらと紅葉が落ちるのが綺麗だ


「葉っぱはどうして赤くなるのでせう
…紅葉の木の下には死体が…「不吉な事を言うな!あとそれは桜だろうが!」」


こひなは楓の木の下で寝転がりながら言う
コックリはこひなの言葉に否定するが、俺はこひなの言葉があっているとわかった

微かにだが、亡くなった人間の念が残っている

どこかに霊がいるはずなんだが…

この木からの霊力が強すぎて感じ取りにくい




…!


後ろから霊の気がし、振り向くと高大校生くらいの女性がいた


「あんた…」

「この楓は一年中紅葉しているの。季節関係なくね」

「ふーん」


こいつが一年中紅葉させているのか?


「あんたは?」


コックリが聞く


「あたし?あたしは…此処で人を待っているの
大切な人とこの場所で約束したの
ずっと待ちぼうけなの。来られないなら狼煙の一つでも上げてくれればいいのに」


この人かなり昔の時代の人みたいだな




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