六つ目の物語

□第20憑目
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俺たちはバスに乗って温泉街に着いた

周りは活気があふれ、浴衣姿で歩いている人もちらほらいる

俺たちは観光は後にして、先に旅館で荷物を置くことにした


部屋行く途中の廊下でこひなの同級生と出会った


「ぴ、きゅりー」

「山本くん。奇遇なのです」


こひなと山本くんとやらが人差し指同士をくっ付ける


「こひなのクラスの子か!
こひながいつも世話になってるな。俺はこひなの兄の名無しさんだ
よろしくな。」


山本くんの頭を撫でる


「名無しさん兄さん、指を出してください」

「?
こうか?」


指を山本くんの方に向けて突き出すと、山本くんの指と俺の指がくっつく


「僕山本。地球人です」

「そうかそうか!地球人か!
俺も地球人だ!」


なかなかユニークなヤツがこひなのクラスにはいるんだな


「少し顔が青白いが具合が悪いのか?」

「生まれてからずっと」

「そ、そっか…なんか悪いなっ
身体には気をつけろよ?」


「いつまでこのやり取りを見ればいいんだ…
そして何故名無しさんまで山本くんが宇宙人だと気がつかない!!」


何言ってんだコックリのヤツ


あとからこひなに聞いたら山本くんはこひなの友達ではなく、コックリの友達らしい

コックリは一時期こひなの学校に通ってたもんな


廊下を歩くと部屋に着いた

部屋は"道化師の間"と余りいい名前ではないものの、中は広々としている


「お部屋はまあ、こんなもんですかにゃ」

「無理矢理ついてきて、その言い様ですか」


言わなくてもいいのに狗神が言うから、タマは怒って包丁を取り出す
包丁を投げつけて、狗神は入り口の柱に包丁ごと刺さった

俺の頭ギリギリだった…!
あと数センチずれてたら、俺の頭が刺さってた…!

タマが少し怖い…


「さあ!温泉を見に行きますにゃー!」

「信楽!ここの宿の温泉が呪いを解く幻の秘湯なのか?」

「いんや。普通の温泉」

「じゃあどこにあるんだよ!」


コックリは信楽の襟を掴み揺らす

信楽がいうには、この温泉街のどこかに呪いを解く幻の温泉があるらしい

だが、もうすぐ飯の時間ということで、先にこの旅館の温泉に入ることとなった




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