六つ目の物語

□第10憑目
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バイトから帰ってくると、こひなが慌てて駆け寄ってきた


「コックリさんが…!コックリさんが…!」


コックリがどうしたんだ?
もしかして狗神によって胃腸炎になったとか?


「コックリさんのモフモフが消えてしまいます」

「は?」

「毛根が死滅するのです」


つまりは、狗神によるストレスで、ストレス性の円形脱毛症になったらしい


「んー…
それにゃ、狗神に説得するしかねーよな」

「…お願いします」

「…っ」


はっきり言って嫌だ
コックリならまだしも、狗神とはあまり関わりたくない
変態過ぎんだもんアイツ

でもこひなのためにしなくては…!








次の日


コックリがいないうちに狗神を和室に連れてくる
こひなは俺の腕の中だ


「狐殿に優しくしろと?」

「でないとモフモフが枯れ果ててしまうのです」

「もふ?」

「ストレス性ハゲになるってことだ」


こひなが言うには、もう10円玉くらいになっているらしい


「優しくしてくれますか?」

「……難しいお願いでこざいますね。」


そこまでイビりたいということか?


「私は、あまり優しさを知りませんゆえ。
生まれ落ち捨てられて、奪われ奪うばかりで。優しさなど私は貴方方のくれた分しか知らない
もし、私に優しさを求めるのならば、貴方方が教えてください。そういう事を、貴方方に躾て欲しいのです」


片膝立ちになって俺の手を両手で握ってくる


「…」


そんなことがあったのか…
なんか手を握られても拒否出来ねーじゃねーか


「私は貴方が「"モテるための心得ひとーつ"」」


コックリが雑誌?片手に襖を開けて入ってくる


「"モテたくば、陰のある美形を演じるべし"」

「ギャフッ」


ん?何だ?


「狗神、知ってるか?世の中こんな面白い本があるんだぜ。
お前の落とし物という参考書だがな」


コックリが見せてくるのは月刊男爵という雑誌だ
表紙には"モテ男心得10ヶ条"と書いてある

もしかしてさっき言った言葉はアレを真似て!?


狗神は拳銃を取り出して発砲する
コックリもフライパンで応戦する


「結局こうなるのか」

「このすきにカップ麺でも食べませう」

「食べる食べる!」


俺とこひなは台所にいってカップ麺を食べた





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