六つ目の物語
□第9憑目
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本当に狗神の勝手さには困っている
都合の良い言葉にしか反応してくれない
都合が悪いと、聞こえないの一点張りだ
かというと、ただの犬にしか見えない時もある
家の近所でサイレンが鳴れば家の塀に上って遠吠えはするし、俺やこひなの靴は勿論、大嫌いなコックリの草履の鼻緒を噛み、犬小屋の前に穴を掘り、そこにコックリの草履を埋めていたこともあった
下二つはどうでもいいのだが、遠吠えだけは止めてほしい
俺も寝れねーし、近所迷惑にもなる
そのことをこひなとコックリに相談すると、こひながワンワンのしつけという本を取り出してきた
「確かにワンワンっちゃ、ワンワンだが…」
「ワンワンも同然なのです」
「見てないで止めろよー!」
いっけね
忘れてたぜ
コックリはしつけすることを止めてくるが、こひなはやる気だ
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