六つ目の物語

□第5馮目
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俺は玄関の前にいた

俺の後ろはもう闇に包まれかけているので入りたいのだが、入る事を戸惑わせるものが家の中から聞こえる


この声はコックリ…?だよな…


泣きじゃくるような声が聞こえる
小さなこどものような声ではなく、男の大人の低い声

この中で何があったというのか…


入りたくねぇっ!


だが、入らないとずっと外にいなくてはならなくなるので、仕方なく戸を開ける

ただいまと小さな声で恐る恐る踏み出す


「コックリー
何いい大人が泣いてんだよー」

「名無しさんー!」

「うおっ」


コックリが涙を流しながら俺に抱き着いてくる


「っ離れろ!」


て、あん?


コックリだと思ったら、なんかデフォルト仕様のキツネだった
でもコックリと同じような鈴付けてんな


「こひな、こいつは何だ」


俺はキツネの後ろ首を掴み、こひなに見せる


「コックリさんなのです。
どうやらいつものコックリさんは擬人化だったみたいです」

「擬人化じゃねーよお!」


キツネはいつまで泣いてんだ


こひなに何故泣いているのかと話を聞くと、コックリが無茶振りを言ってきたらしい


「無茶振りなんかじゃねー!名無しさんもこひなが笑ったら可愛いと思うだろ?」

「そりゃ当たり前だ
だが、こひなはどんな顔してても可愛いと思う!」

「やっぱシスコンは黙ってて!」


シスコンで悪かったな


「うわーあーん!ヤダヤダヤダー!」

「はあ、アニマル化でもコックリはコックリだな…

仕方ねー…。こひな、少し笑ってやれ」


勿論作り笑いをな

俺はこひなの作り笑いを知っている
それで親戚には一線置かれてしまった事もな…


「……名無しさん兄さんの頼みとあらば、笑顔の練習します
なので、泣き止んでください」

「ホントか?」


めっちゃコックリから花が咲いてる…
ホントは笑顔の練習なんてしない方が、身のためなんだがな


「はい。そのかわり、後で肉球触らせてください」

「好きなだけぷにっていいぞー
勿論名無しさんもな」

「いや、別に興味ねー」

「ガーン!!」


だから口に出して言うなって


「何でだ!肉球だぞ!?プニプニだぞ!?」

「特に好きとかじゃねーし。そもそも動物も特別好きってわけでもねー」

「ガーンガーン」


なんかコックリに矢印が刺さってるような…
何か悪いこと言った…?





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