君の為に望む事
□君の為に望む事
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エルドラントで師匠を倒した。それは、随分前から決まってた事で、決められていた事で。
皆が「倒さなきゃ」って言う。俺も、世界を壊してレプリカの世界を創るのは間違ってると思うから、「止めなきゃ」って思う。
大好きで大切で最初から最後までずっとずっと尊敬してた。
『愚かなレプリカルーク』なんて言われても、見たことがないほど冷めた眼差しで見られても見下しきっている雰囲気で嘲笑われても、そんなことは関係ないくらい師匠に陶酔してた。
だって、師匠だけだった。
屋敷の中は冷たくて寂しくて、掛けられる言葉はいつも「昔のルーク様は」がついた。
ガイだって例外じゃなくて、時々見せる冷たい笑顔が怖かった。
そんな中で、師匠だけだったんだ。
暖かい眼差しで今の俺を見て、褒めて叱って触れてくれた。
俺の頭を撫でる、大きな掌。(それは不安を解消してくれる、唯一つの温もり)
俺の肩を励ます様に叩く、大きい腕。(それは悲しみさえ吹き飛ばす唯一つの優しさ)
俺の存在全てを守ってくれる様な大きな背中。(それは俺という存在を肯定する様な唯一つの…優しさ)
それら全てが偽りで塗られていたとしても、大好きで大切だった師匠に変わりは無く。
救われていた心は確かに此処にあるから。
だから、師匠の、弟子として。
師匠を止めたかったんだ。
大好きで大切で。
敬愛していました。
師匠の為なら、何だって出来ました。
だからこそ、師匠が他の奴に殺されるのは嫌だった。
ごめんなさい、師匠。
そして、
「ありがとうございました!」
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