海賊b
□おじゃまむし
1ページ/1ページ
『マールコ!何してんの?そろそろ次の島に着くから、一緒に買い出しの準備しようよ!』
ナースさんたちと楽しそうに座り込んでいるマルコを見つけ、後ろから抱きつく。
「くまか。これが終わるまで、ちょっと待ってろい。」
マルコは難しそうな顔をしながら、3人いるナースさんの中の一人とチェスをしていた。
弱いのに、なんで。そんな事を思いながらチェスボードを覗けば、やはりマルコが負けている。
『・・・負けてる。』
「う、うるせぇよい!黙って見てろい!」
「ち、チェックメイト、です。」
控えめに告げるナースさんに、マルコは目を丸くしてチェスボードを見つめる。
まさか。そう言いたそうな顔だ。
「あら、負けちゃいましたね。」
「途中まではマルコさんが勝ってましたのに。」
傍観者の立場であるナースさん達が、ふふふ、と綺麗に笑う。
『白ひげ海賊団の一番隊隊長ともあろうお方がね!』
「くま、エースには言うなよい。」
『えへへ、どーしよっかな!』
ニヤニヤしていると、微笑むマルコに軽く小突かれた。
「あ、あの、マルコさん。」
『?』
チェスの相手だったナースさんが、マルコを呼ぶ。
「・・・私が勝ったら、お願いをきいて下さるんでしたよね。」
「ああ。おれに出来る範囲なら、」
「わ、私と、付き合って頂くことは・・・可能でしょうか!」
頬をほんのり染め、呟く。ナースさんの心臓の音が、こちらにも響いてきそうなくらい、緊張しているのが分かる。
わ、マルコ!どうするの!なんて呑気に言いながら彼を見れば、マルコの頬も、みるみるうちに赤く染まっていく。
『マ、マルコ、』
早く、買い出しの準備に行こう。
まるでそう言うようにマルコに伸ばした私の手は、彼の体に触れることなく、宙を掴んだ。
「・・・くま、先に行ってろい。おれも、後から行く。」
こちらを見ずに、そう告げた。
彼の瞳に私は映っていない。
(ああ、そうか。)
私は初めから、邪魔者だったんだ。
(あんまりラブラブして遅くならないようにね、なんて強がってみせた自分が、情けなく思えた。)