過去作品b

□言わせてみてぇもんだ
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『嫌いよ』

「フッフッフ!」



くまの口から嫌いという言葉を聞くのはこれが初めてじゃねェ

女の香水の匂いをつけて朝帰りする度に言う聞きなれた言葉

そして、その馬鹿げた言葉をおれはいつも笑う

おれが他の女を抱いて帰って来たとでも思っているんだろうな



『大嫌い』

「愛想尽かしちまったか?」

『ええ』

「フフフ!唯一愛した女に愛想尽かされる、か・・・悪くねェな」



少し笑い、肩を引き寄せてやると泣きそうな顔でおれを見てくる



『あなたは、ずるいわ』

「アン?」

『私があなたから離れられないことを知ってて他の人を抱くんだもの』

「フッフッフ!フフ!」

『だから絶対に"愛してる"なんて言ってあげないわ』



おれの服の裾を掴み、胸に顔を埋めてくる

肌蹴た胸にふ、と触れたくまの唇は温かく柔らかい



『私から愛の言葉を聞けなくなったあなたは不安になる筈よ』

「フフフ!おれが不安に、か。そりゃァ腹が捩れるほどおもしれェだろうな」



馬鹿にしたように言えば、不満そうにおれの胸を叩く



「本当におれが嫌いか?」

『ええ、嫌いよ・・・大嫌い』



くまが胸に埋めていた顔を上げて強がりの嘘だと言わんばかりにおれを睨む

だが生憎、小動物に睨まれたぐらいで折れる輩じゃねェんだ



「おれはお前に愛の言葉をたんと与えている筈だが・・・それじゃ不満か?」

『不満よ』

「フフフ、好きでもねェ奴に愛の言葉を囁かれたって迷惑でしかねェな。お前がおれを嫌いでいるなら、その辺の女でも標的にするぜ」

『・・・浮気者、最低、ヤリチン』

「フッフッフ!フフフ!えれェ言われようだぜ!」



おれを睨むくまの顔が曇り、再度おれの胸に顔を埋めた



「悪りィが最近お前以外の女とヤった覚えがねェ」

『嘘よ』

「なんならおれの心の中でも覗いてみるか?お前でいっぱいの筈だぜ」

『嘘ばっかり』



嘘だ嘘だとおれの話を全否定するくま

何か胸に冷たいものが伝ったかと思えば、くまの瞳から零れた涙だった



「フフフ!フフ!・・・愛してるぜ、くま」

『大嫌いよ、馬鹿』



愛するくまから、愛の言葉は無ェ

だがそのかわりにお前は強がりの嘘を呟く

だがそれが「愛してる」の言葉だとおれは分かってる

その嘘が心地よく耳に響き、おれの間違った愛情表現を止められずにいる



『あなたが私に留まるまで絶対に言ってやらないわ、愛してるなんて。永遠にね』

「フフフ!そうか!」



今日もまたくまの嘘が頭の中で何度もこだまする

・・・だが、たまには正直な気持ちも聞いてみてェ・・・いや、










(言わせてみてぇもんだ)

「愛してるって言ってみねェか」

『嫌よ、大嫌い』

「フッフッフ!天の邪鬼なお姫さんだぜ!』





―――

またもやミスチル参考(^ω^)

でもやっぱり話をまとめるのが下手で!





 

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