銀魂b
□ハロウィン
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10月末日、世間はハロウィンムード一色。
そんな中、私はある悩みを抱えていた。
それは・・・、
『やべぇ。やっぱり仮装と言えばミイラ男かな。ね、土方さん。』
「勤務中に何言ってんだお前。フランケンシュタインに決まってんだろ。」
そう、私は今月歌舞伎町で行われるハロウィンパーティにお呼ばれしていて、当日の仮装を悩んでいるのだ。
「くまはミイラ男じゃなくてミイラ女でさァ。包帯だけで躯体を隠す、露出狂のド淫乱って設定にしやしょう。」
『総悟死ね。』
「お前が死ね。」
『いやお前が死ね。』
「いやむしろ土方コノヤロー死ね」
『土方コノヤロー死ねェェェ!』
「っおいテメェら・・・あっ逃げやがった!待てコルァァァ!」
『ぎゃー!逃げろー!』
歌舞伎町のイベントということで、もちろん一緒に参加するのは万事屋一行。ハロウィンではお菓子(食料調達)のため、彼ら(特に銀さんと神楽ちゃん)の気合いったらない。
ちなみに仮装は必須。仮装をしていない者は、有り金尽きるまで歌舞伎町に群がるモンスター達(イベント参加者)にお菓子を貢ぐことになる。知らずに足を踏み入れると、大惨事になってしまうのだ。歌舞伎町って怖い。
『はぁ、はぁ。ここなら見つからないでしょ!』
総悟と共に追っ手(土方)から逃れ、屯所の縁側に腰を下ろす。総悟はアイマスクを着けて寝転がった。
『ねぇ総悟、仮装どうしよっか。』
「あれ、アンタは淫乱女にするんじゃなかったんですかィ。」
『いやー、よくよく考えたら年頃の乙女が露出なんて、けしからんと思ってさ。』
「大丈夫、くまなら全裸で歩いてても誰も近付きやしませんぜ。」
『おい、どーゆー意味だバカ!男の視線釘付けに決まってるだろー!』
寝転がった総悟を揺すれば、あああー、とわざとらしく気の抜けた声を出す。
『・・・何の仮装するか早く決めないと、ホントにミイラ女になっちゃうよ。』
「そうなったら、公然わいせつ罪で即御用でさァ。」
『えー。モロ出しじゃないもん、包帯で巻いてるもん。』
唇を尖らせて言えば、総悟はアイマスクを外してこちらを向く。
「・・・じゃあ公務執行妨害でさァ。アンタに街中で卑猥な格好されると、俺が仕事手ェ付かなくなりやす。」
『へ?』
「好きな奴が裸同然の格好してりゃ、見ちまうのが男の性ってモンでさァ。バスタオル然り、水着然り。・・・それが色気の無ェ、馬鹿なミイラ女でもな。」
『え、そ、総悟。それって・・・!』
総悟と私の頬が、ほぼ同時に、ほんのりと紅く染まった。
(ハッピーハロウィン!)