銀魂b
□青空diary
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本日、晴天。
部屋の窓から見える空は、一面青色だ。
雲が無いことを不思議に思い、雲を探して部屋の窓から体を乗り出して見てみたけれど、空には白い雲は無く、青い空だけが広がっていた。
雲ひとつ無い青空なんて、小説の中だけのものだと思っていたけれど。
今私の瞳に映っているのは紛れも無く真っ青な青空で、想像していたよりもずっと綺麗だった。
『銀ちゃん』
「んー」
『空、すっごい綺麗だよ。青い。真っ青。』
「んー」
『空ってこんなに広かったっけ。』
「んー」
『もう、ジャンプばっか読んでないで、私の話も聞いてよねー。』
部屋から聞こえてくる空返事に、私は窓から前のめりになっていた体を部屋に戻す。
ソファを寝転がってダラダラとジャンプを読む、大の大人。
万事屋銀ちゃんのオーナー、坂田銀時。もとい私の恋人。
彼女である私が話しかけても、愛読書のジャンプから一切目を離しません。そうです今日は月曜日だったのです。月曜日のばかやろー。
みんな長谷川さんのことを、まるでダメなオッサン(略してマダオ)と呼ぶけれど、銀ちゃんも中々のマダオだと思う。
『銀ちゃーん』
「んー」
『ジャンプ読んでないで構ってよー。』
「んー可愛いこといってるみたいだけどちょっと聞き取りづれーなー。後にしてー。」
どういうことだ。彼女の可愛い甘えたお願いをスルーなんて。
それもこれも、ジャンプが悪い。なんだよ週刊少年ジャンプって。少年って名前が付くんだから、少年以外買えなくしちゃえばいいのに。
なんて意味の分からないことを考えていると、横で銀ちゃんがジャンプを読みながら一人で笑っていた。可愛い。
『ジャンプ読んでないで、相手してよー。』
「んーちょっと聞こえなーい。」
『・・・そんなの読んでるからいつまで経っても天パなんだよバーカ。』
「これはジャンプのせいじゃありませーん。悪魔の呪いによる生まれつきですぅ。天パで悩んでる世界中の方々に謝れコノヤロー。」
『聞こえてるじゃん。』
「ちっ」
銀ちゃんがジャンプの方ばかりに向けていた視線を、私の方に向けた。
さっきからしつこく銀ちゃんに呼びかけていたのは私の方だけど、いざ目が合うと、何故だか照れ臭くなってしまった。
『こっち向いちゃヤダ。』
「構えって言ったり相手しろって言ったかと思えば、こっち見んなとか、何?新手の嫌がらせ?まるで消しゴム落としたから拾ってーって言われて拾ったら、汚いから触んなとか言われた気分だわー。銀さん傷つくー。」
『だって、だって、・・・銀ちゃんに見られたら、なんか照れちゃったんだもん。』
「え、」
『っ・・・察しろ天パ!』
「くま、」
自分でも何故照れたのか分からないほど急な感情に、頬が赤く熱くなるのを感じた。
「くま!」
『ぎゃっ!ちょ、なに!?』
銀ちゃんの腕が私のお腹に回されて、銀ちゃんの胸に抱き寄せられる。
「そーいう素直で素直じゃないところが、可愛い。」
『??? どーゆーこと?』
「秘密!」
(くま、愛してる)
(っ!・・・ばか。)
(照れちゃってかーわーいーいー。)