-今日から双子!?-
□ホワイトクリスマス その2
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今日は12月24日。
そして薄暗いこの部屋で、2人の男がなにごとかを話していた。
「いいか、もう一度聞くぞ……」
男は神妙な顔でもう1人の男に詰め寄る。その声は重く、冷たく響く。
「お前、本当に…………
……本当に女と今日を過ごすつもりじゃないんだな?」
「はあ?」
2人のうちの1人、拓也は呆れ顔で声の主――正樹のことを見た。しかし正樹は真剣だ。
「ま、まあ」
「イエスかノーで!!」
その目に気圧される拓也に、正樹はさらに詰め寄る。
「……。さっさと部活行くぞ」
「あ、おい待てって!」
拓也は少しの沈黙の後、バッグを持って明かりの消された教室を出ていった。少し遅れて正樹も教室を後にする。
「なあ、結局女の子と過ごすのか?お前はそういう奴だったのか?」
「あーもーしつけえな。どっちでもいいだろうが」
正樹と共に、校門を出て練習グラウンドへ向かう拓也。その拓也に、後ろから聞き慣れた声がかかった。
「お兄ちゃ〜〜〜ん!!」
「ん?――おお、今帰りか」
拓也が振り返ると、そこにいたのは木玖葉と、その友達と思われる女の子3人。その中には、拓也と面識のある美鈴の姿もあった。
「みんな友達?」
「うん!今日はみんなお家に呼ぶの!だからみんなで帰るんだ〜」
拓也と木玖葉はそのあと二言三言会話を交わして別れた。話している間、拓也の頬は緩みっぱなしだった。
「お待たせ……ってどうした?」
拓也は自分の顔を見つめる正樹に、不思議そうな視線を向けた。
「お前って、妹の前だとあんなにデレデレになるんだな。クールキャラ崩壊してたぞ」
「うっ…………」
しみじみと言う正樹に対し、拓也は言葉を詰まらせた。