04/11の日記

18:41
物語は繰り返す。/SS 風荒&オールキャラ
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とてもお久しぶりです。5年ぶり?もっと??の更新ですかね。
年号変わってて草!

最近またがっこわ実況など見返しておりまして、
平たく言えば何度目かの再熱、でございます。
風荒はいいぞ…笑


今回は珍しくオールキャラモノです。
それでも消せない風荒風味。笑

語り部たち、あのあと皆仲良くなってたらいいな〜という願望です。
どうだろうね。 仲良しはいいぞ…。


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あの七不思議の集会から一ヶ月が経った。


日野さんの紹介で集まってもらった語り手たち六人とは、
何だかんだでいまだに付き合いがある。

週に一度はこの新聞部部室に集まり、
怪談はともかくお喋りをするのが
なんとなく習慣になっていた。


あの時のような陰鬱な雰囲気はなく、
お菓子などを持ち寄って、気ままに各々に喋ったり、トランプなどして遊んだりしている。


特に強制した集まりではないのだが、
特別用事がない限りあの当時のメンバー全員が、ほぼ毎回顔を出してくれた。

岩下さんなんて、こういう馴れ合いの場っぽいの好きじゃなさそうに見えるのにな。

今も大人しく椅子に腰掛け、長い髪を耳にかける仕草をしながら
賑やかな語らいに耳を傾けている。
口元にわずかばかりの笑みを浮かべて。


意外だったのは初対面であれだけ激しい喧嘩をしていた
荒井さんと風間さんが、
いつの間にやらすっかり意気投合して、
仲良くなっていたことだ。

机を挟んで対角線で睨み合い、
果ては殴り合いにまで発展しかけていた二人だったので驚いた。

その場にいた全員総出であんなに必死で抑え込み、
なんとか距離を離してさえガンを飛ばし合っていたのに。


今では隣り合って座り、あまつさえ肩まで組んでいる。

「なんだ、お前ら二人えらく仲良くなったんだな」
新堂さんが意外そうにそう声をかけると、

「やあ、まあ最初こそなんて生意気な、って思ったけどね。
まあ歯に衣着せぬ物言い? っていうのかな。 案外癖になっちゃってねえ」

といってニコニコしているのが風間さん。


「僕としてもここまで本音をぶつけられる相手というのは、ある種貴重ですから。
ありがたくサンドバッグにさせてもらっています」

とのたまうのが荒井さん。
満更でもないようだ。

「言ってくれるねえ、僕の前じゃあんなに甘えん坊な癖に… あいてっ!」
荒井さんの肘鉄が、綺麗に風間さんの肋に入った。容赦がない。


「… ところで、評判がいいそうですね、例の七不思議の記事」

咳き込む風間さんを無視して、
荒井さんは正面に座る僕の方へ話を振ってきた。

「あ! 知ってる知ってるー!
ウチのクラスでも結構有名になってるよ!」
別の話をしていた福沢さんが、くるりと向き直って会話に参加してくれる。

「あ、ええ。 皆さんのおかげで」
僕は頷き、軽く頭を下げた。


そうなのだ。
僕の初仕事となったあの七不思議の新聞記事は、
その濃厚な内容から一部で話題になっていた。

他校の特集でもここまで具体的、かつ豊富な事例は例を見ないのではないかと思う出来になった。

それこそ今ここにいる語り部たちのおかげであって、僕はそれをただ読みやすくまとめただけ。

唯一風間さんの話だけは、箸休め的なミニコーナーの扱いになったけれど、
他の話はどれをとっても不気味で恐ろしく、
かつドキドキワクワクしてしまう仕上がりだったと思う。


「皆さんの渾身の怖い話のおかげです。
まさかあんなに、この学校に怖い話があるとはさすがに思いませんでしたけど」


テーマは「学校の七不思議」のはずだった。

なのに出てくる出てくる、
到底七つでは収まらないほどの
実体験に基づく怖い話が。

正直彼らの話を全部聞いていたら、
七不思議どころか七十不思議くらいできてしまうのではないかと、
それがまた恐ろしい。


「僕はトイレの怪談しか知らなかったけど、
本当にこの学校は怖い噂がいっぱいあるよねえ」

細田さんがうんうん頷いて、笑っている。

「確かに。トイレの話だけで七不思議できそうだったもんねえ」

風間さんが同意する。

「あなた一人でも完成させてたじゃないですか、七不思議」

隣で荒井さんが突っ込む。

「それでだな」

急にドアが開いて、日野さんが入ってきた。

「あれ、日野。お疲れー」
片手で風間さんが挨拶する。
僕は席を立ってお辞儀する。

「よう。 みんな集まってるな。
ちょうどいい、 おい坂上」
「はい?」

日野さんが丸めた冊子で僕の肩をポンと叩いた。

「七不思議の記事。あんまり評判がいいんで、どうだ?
号外というか、特集号をシリーズ化するっていうのは」

「え」


「続きが出るってこと?! キャー、楽しそう!」
僕より早く福沢さんが声を上げた。

「あら、よっぽど評判だったのね」
岩下さんもどこか嬉しそうだ。

「おー、そんなことあんのか。すげえな」
新堂さんがそう漏らして、

「僕のとっておきの話が必要みたいだね!」
「あなたは別のオマケコーナーを担当したらどうです、本格ホラーは僕達でやりますので」
調子に乗る風間さんと、一蹴する荒井さん。

「わぁ、楽しみだなあ」
小さく拍手するのが細田さん。

その拍手がだんだん大きくなって、
ついにその場の全員に広がった。

僕一人を囲むようにして。


「満場一致だ。どうするんだ、坂上?」
ニヤリと笑う日野さん。
「え、あ… あの」

改めてその場の全員に目を向ける。

誰もが僕を見て、そしてそれぞれに笑っていた。

岩下さんは美しく微笑んで、
新堂さんはどこかからかうような、挑発的な笑みで。

風間さんはだらしなく笑い、
荒井さんは穏やかに。

細田さんは心底嬉しそうにして、
福沢さんはいたずらっ子のような笑顔で。

全員が僕を讃え、拍手は鳴り止むことはなかった。

「… が、がんばらせていただきます!
皆さん、どうかまた僕に力を貸してください」

恐縮して深くお辞儀をすると、
拍手は一層大きくなった。

「まかせてくれたまえ! 大船に乗ったつもりで」
「泥舟の間違いじゃないんですか」

風間さんの声が途中で荒井さんに掻き消されたが、
顔を上げると皆やっぱり楽しそうな笑顔だった。

「おめでとう、坂上くん」

福沢さんが声をかけてくれる。

「ありがとう。 …じゃ早速企画を練らなくちゃ」

僕はワクワクした。

学校であった怖い話。
そんな物騒なテーマが、ここにいる僕ら全員を繋いでくれた。

不思議な縁があったものだ。


「ええと、じゃあ… 改めて取材の日取りを」
「そんなことよりパーティだ!」
風間さんがジュースのペットボトルを掲げる。

「おお、いいな。祝杯だ」

それに新堂さんが乗っかった。

「だってよ。ま、今日のところは
それでいいんじゃないか。
プランは明日以降だ」

日野さんが僕の背中を押した。
今日は活動日でもないしな、と付け足して。


「正直、まだいくらでもあるんだよな、この学校の怖い話ってのは」

「ありますね。あんまり凄惨なので、前回は話すのを躊躇ったのですが…」

「あら、楽しみだわ。私もまだ話し足りないと思っていた所だし、次回はいつになるかしら」

「早い方がいいなー! なんなら今からでも話したいのあるし! 先週あったばっかりのとか!」

「ふ、福沢さんもよくそういう場面に当たるよね…」

「やっぱり才能のあるものは引き寄せてしまうんだろうね! この僕の輝きに導かれてー」


皆口々に意気込みを聞かせてくれる。

いい人たちだ、改めてそう思った。


「おいおい、今日は祝杯なんじゃなかったのか?
いいのか坂上、ほっといて」

日野さんは言いながらも笑っている。

僕はニヤける自分の頬を軽く両手で打って、浮ついた気分を引き締める。

皆のおかげで素晴らしい形に仕上がった新聞。
まさかこうして、また続きを作ることができるなんて。

頑張らなくっちゃ。

この人たちの全力の怖い話を、
僕の手で大勢に喜んでもらえる記事にするんだ。

またこのメンバーで、この場所で、
取材できる学校の怖い話。



さあ、
誰の話を聞こうか──?



☆コメント☆
[楓] 04-25 14:21 削除
初めまして!管理人さん大好きです!質問とリクエストはOKですか?

[管理人] 04-25 15:47 削除
☆楓さま☆

わー初めまして!
このコメント欄に通知機能あるの久方ぶりに知りました!!!笑
過疎サイトにようこそ…めっちゃ嬉しいですありがとうございます!!!

質問&リクエスト大歓迎です!!
いつでもウキウキお待ちしてます(*゚▽゚*)
(SSかく原動力です!!!ぜひ…笑)

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