アイドルマスター その他

□切ない想い



「千早さん…。」

「美希…。」


今日はラストコンサート当日。
美希と私は控え室で待っていると美希は私に擦り寄ってくる。

私はそれを拒否することなく受け入れると触れるだけのキスをした。


「…。」


ずっと美希が好きだった。ラストコンサートが決まると美希は私のことを好きと言ってキスをしてきた。

最初は恥ずかしさと嬉しさでいっぱいだったが私はあることに気付くとやり切れない想いになった。


---コンコン。


「千早…美希…そろそろ出番だぞ。」

「はぁいなの♪」

「…はい。」


美希はそのままPを通りすぎるとPは悔しそうな顔をした。

美希はPから解散宣言をされた日…ショックのあまり記憶を失ってしまったのだ。

大好きなPの想いと共に…。

そして、ラストコンサート3日前…。

私は美希に告白された…。


でも、わかってる。美希は本当は私のことが好きなんかじゃない…。
あれだけ溢れていた想いを失って胸の中が空っぽになってそれを埋めようと私に声を掛けたのだろう…。

美希は先に出て行ってしまったかと思ったが控え室前で待っていてくれると私に手を差し伸べてくれた。


「千早さん…遅いの…。」

「ごめんなさい美希…。」


美希は口を尖らせてそう言うと私の手を握って走り出した。


「今日は…最後のライブなの…千早さんと一番楽しい思い出にしたいのっ♪」

「…。」


美希は笑顔を向けながら私に言ってくれるが私はそれと反対に暗い表情になっただろう…。


そして私達はそのまま長い通路を走っていくと光の先…ステージへと上がっていった。


『みんなーーー今日は来てくれてありがとなのっ♪』


私達はファンの皆に笑顔を送ると次々と歌っていった。

時折美希は私に寄り添って歌うと手を握ってきてくれた。


そして、繋いだ手は離さないまま最後の曲へと進む…。


「みんなっ!ホントに今までありがとなのっ♪」

「次の曲で最後となります…。」


私はそう告げると二人で声を合わせて叫ぶ。


「「relations!」」


それと同時に音が鳴り出す。

美希の声に合わせて声の高さを調節していると突然美希の声が聞こえなくなっていた。


「…美希!?」

「う…ぅ…。」


私はふと美希を見ると美希はしゃがみこんで頭を抑えていた。


「だ、大丈夫美希!?」


私は慌てて腰を下ろして美希の顔に近づく




「頭がぁ…頭が痛いよ…


はにぃ…」


「っ!?」


私はそこの言葉に目を見開くと美希は




繋いでいた手を





離した…


「じゃあねなんて言わないでーッ!」

「…。」


美希はそのまま立ち上がるとハッきりとした目でファンの前で歌い始めた。


私も慌てて立ち上がるともう一度歌い始める。


そして、美希は歌を完璧に歌い終わるとそのままステージを去って行った。


「はにぃ!!!」

「美希…ッ…お前…記憶が!!」

「うん!!全部思い出したのっ…はにぃのコト忘れるなんて美希本当にどうかしてたの…。」

「…。」


私もファンへお礼をしてステージから降りると静かに二人を見守っていた。


「はにぃ…抱きしめてっ…壊れるくらい…ぎゅっとして!!」

「美希…ッ!」


美希はぽろぽろと涙を流しながらPに飛びつくとPも美希のことを強く抱きしめた。


「はにぃ…///」

「美希…。」


2人は幸せそうに互いに見詰め合うとそのまま微笑んだ…。


「…千早さんも…迷惑かけてごめんなさいなのっ!」

「…

気にしてないわ…私と付き合ったのもPの想いを私にぶつけただけなんでしょ?」

「付き合った…?ミキ…千早さんと付き合ったの?」

「ッ!」


美希は困ったような表情を私に向けると


「冗談よ。」

「ジョウダン…?ち、千早さん嘘付いたのっ!?ひどいのっ!」


泣きそうな顔で美希は私に迫ってくると私は美希の頭を撫でPにこう言った。


「プロデューサー…美希のこと…頼みますね…。」


悲しい気持ちを全部抑えてPにウィンクをすると私はそのまま控え室に戻っていった。

私はあのあと765プロに戻ったが二人はどこかに行ってしまったのだろうか事務所には私一人しかいなかった…。


「うぅ…美希ぃ…。」


私は一人になった瞬間涙が止まらず一人ソファーに足を抱えて泣き果てた…。
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