アイドルマスター Lost Heart編
□サンダームーン/藤乃詩織/Eランク/雑誌表紙撮影
「はーい!!撮影おわりやーっす!!」
「ありがとうございました…。」
詩織は人気雑誌「大和ナデシコ!!」という雑誌の撮影を終えると水着姿のままテーブルに着いた。
「藤乃さんっ!!お知り合いの方が来ていますっ!!」
「?」
スタッフの一人が詩織の元にやって来るとスタッフの後ろに四条貴音と三浦あずさが詩織に一礼して入ってきた。
「それで何をしに…?」
「社長さんから聞きました…どうやら詩織ちゃんのお父さんと765プロは関係ないとおっしゃっていましたが…。」
「…。」
「わたくしも同じです。天木順子…あなた様が受けた言葉本当なのでしょうか…?」
「…。」
あずさと貴音は考える表情を見せつつ詩織に聞くが詩織は何かを考えているとふと言葉を出した。
「お父様は私が一歳のころ冤罪に掛けられ刑務所に8年間入れさせられました。
その8年間に母は自殺…私は父しかいませんでした。」
「お母さんも自殺を…?」
「えぇ…すべては765プロのせい…天木順子はそれを知っていました。
母が亡くなり父も亡くなったことを…。」
「…。」
「だから天木様の言っていることは正しいのです。紗騎もそうおっしゃっていました…。」
「さ…紗騎ちゃん…?」
意外な人物の名にあずさと貴音は目を合わせると詩織はそっと呟く。
「私を拾ってくださったのは順子様ではありません。紗騎のおかげなのです。」
「紗騎ちゃんがどうして…??」
「優歌もまた紗騎に拾われたのです。紗騎は私達のすべてを知っているのです。
その紗騎が言うのだから本当のことなのです。」
「「…。」」
詩織の言葉にあずさと貴音は星井紗騎に忠誠を誓う詩織の姿を見て顔を曇らせた。
「お言葉ですが藤乃詩織…わたくしは一番怪しいと思う人物は星井紗騎だと思います。」
「えっ…。」
「貴音さんの言うとおりです…何故紗騎ちゃんが詩織ちゃんと会う前に詩織ちゃんのことを知っていたのでしょうか?」
「それは…紗騎は言っていました。
『自分で調べたと。』…。」
「でも高校生の人間が刑務所や他人の家庭の自殺暦など調べるのでしょうか…。」
「……紗騎は…何もしていません…。」
紗騎に疑いをかけるあずさと貴音に詩織は腕を抱くと顔を逸らしていった。
「それにもっと疑問があるのです…詩織ちゃんのお父さんは…刑務所に出た後すぐに別のところで働き始めたそうですね…。」
「えぇ…。」
「噂によるとTV局よりも多額の金額が手に入る仕事に手を着けたと…。」
「っ!?」
「真実を知りたいのにどうして詩織ちゃんは隠すんですか…?」
「それはっ…!」
「わたくしも三浦あずさと同じ意見です…あなた様は何かを隠している…。」
「…。」
詩織は表情を暗くさせるとそこにDAマネージャー沢田あゆみが大慌てで詩織の元に入ってきた。
「し、詩織さぁん!!さっきのカメラマンさんから手紙もらったんですがっ!!」
「え??」
詩織はあゆみからその手紙を受け取るとそれを開いてみた。
【真実から逃げる愚かな少女。父の死を受け入れることにより真実の光はお前の味方となるだろう。】
「…この方っ!!」
「?
どうしたの?詩織ちゃん…。」
「あゆみッ!!この手紙の主は今どこへ!!」
「えぇ!?さっき廊下に居ましたがもう帰っちゃったはずですッ!!」
「それでも間に合うというのなら追いかけますっ!!」
「「「詩織ッ!(ちゃん)」」」
詩織は衣装のままその手紙を握りつぶすとスタジオを後にしてしまった。
「…詩織ちゃんと詩織ちゃんのお父さん…。」
「そして天木順子と星井紗騎の存在…。」
貴音とあずさは互いの視線を合わせると次に何を知るべきかを相談し始めた。
「…。」
沢田あゆみはその姿を見つつ携帯にメールをするとそっとスタジオを出て行った。
「お待ち下さいッ!!」
「あぁん?」
詩織は廊下でメールをしている先ほどのカメラマンを見つけるとそっと男に近づいた。
「この手紙っ…あなた様は何を知ってらっしゃるのですか?」
「?
手紙?何のことだぁ?」
「…
まさかあなた様が送ったのではないのですかッ!!」
詩織は男の反応にすぐに気がつくとその場に膝を着いてしゃがみこんだ。
「??
何か知らんが誘ってんのそれっ???」
「えっ…?」
「まぁ誘ってんなら乗るけど…
?」
男は詩織をニタニタと笑いながら近づくと詩織の上に視線が移動した。
「…
っち。『おかしな目』をした奴だ。気が反れた。じゃあな。」
「お待ち下さいっ…!」
カメラマンはそのまま詩織に向かって言うとそのまま角を曲がって去って行ってしまった。
「……誰ッ!?【振り向くな。】
詩織は放心状態であったが誰かの気配を感じ後ろを振り向こうとするが後ろの人物は低い声で詩織を脅すと口を開いた。
【何故本当の事を知ろうとしない。】
「え?」
【天木順子、星井紗騎の言葉を間に受けるな。】
「女の声っ…。」
【詮索しないで。あなたは本当はわかってる。父が何故自殺をしたのかを…。】
「…っ。」
【あなたには父の死を知らなくてはいけない理由があるッ!!】
「…
あなたは何を知っているのですかッ!!!
…?
えっ…?」
詩織は背後の人間の言葉に耐え切れず立ち上がると後ろを勢い良く振り向いた。
が、すでにそこには誰も居なかった…。
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