Prosaic poetry.

□なきうさぎ
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星清(さや)ぐ言の葉に
風清(きよ)く朧月

ゆるりゆるり流るる刻は
藍月の陽炎

水面揺らぐ水鏡
孤独な兎は月へ
山の香に胸震わせ
草笛に今宵舞う

蛍光り幽玄灯
今も灯っていますか?
此処で待つ 君を待つ
藍の夜の泣き兎

さわさわゆらりゆらり
きらきらはらりはらり

揺らぐ揺らぐ視界の海と
波立つ待ち心

灯り出す蛍火の
妖かしな幻想郷
彼の君は何処にいますか?
独りで泣いてませんか?

蛍舞う藍の夜に
待ちぼうけの泣き兎
今も待ってる 君を待ってる
永久(とこしえ)の宵待ちに

君を映すは水鏡
泣き兎微笑んで
冷たかろうと寂しかろうと
草地を蹴り付けて

蛍光り幽玄灯
泣き兎は水底へ
湖面に映える望月の
影はあの泣き兎

今はもう泣きませぬ……






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