04/01の日記

22:47
小ネタ(スザニナ?)
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「スザクは、ユーフェミア様と喧嘩したことはなかったの?」


背中を向けたまま、ニーナ・アインシュタインがそう尋ねてきて、スザクは瞳を見開いた。

振り返ると、ニーナは何かの機械の部品を弄っている。

日本人も、日本人であるスザクのことも嫌いだという彼女は、時々こうして自分の前に姿を現せる。

…ニーナがユーフェミアに尊敬以上の気持ちを抱いていたという噂は、スザクも聞いたことがある。

時折、彼女は何かもの言いたげな瞳で、スザクを見つめていた。

恨んでいるような、今にも泣き出しそうな、宝石のように美しい瞳。

彼女はこんなにも美しくて、可憐な少女なのに、女性としての幸せではなく、ユーフェミアを見捨てた世界に復讐することだけを追い求めていて…、物悲しいスザクであった。


「ねえ、喧嘩、したことあるの?」


手作業を続けながら、ニーナは視線をスザクに向けないまま、問いかけを繰り返す。

うーん、と、スザクは考えた。

ユーフェミア、彼女は春の風のような人だった。

いつも突然で、でもスザクのことを一番に考えてくれて、花と音楽とすべての人々を愛する、優しい女性だった。



「喧嘩、したことないなあ」

「…それは貴方が、ユーフェミア様を、愛していたから?」



静かな問いかけに、スザクはしばし逡巡する。しかし、


「それは違う」


と、きっぱり答えた。



「多分、ユーフェミア様と喧嘩しなかったのは…、…僕が彼女に恋をしていたから」



その言葉に、ニーナは初めてスザクを振り返った。信じられない、という顔をしている。


「…恋?」

「そう、普通は、恋から愛に変わるんだろうけど」


僕は違ったんだ、と、ニーナの揺れる瞳を真っ直ぐに見つめて、スザクは言葉を紡いでいく。

笑った顔も、怒った顔も、すべてが輝いて見えた。


「僕の世界で、彼女だけがきらきら輝いていた。憧れで、一番星のように、遠い存在だった」


私もスザクを大好きになります、と、彼女だけが、こんなにもちっぽけで、いじけたスザクを見つけてくれた。

だからこそ、スザクは彼女のすべてを認めたいと、許したいと思った。

世界中の人々がユーフェミアを罵倒しても、自分だけはただ一人の理解者でいたいと、そう思っていた。


「…独りよがりね」


吐き捨てるように、ニーナはそう呟く。

かちゃかちゃ、と、また機械いじりを再開して、スザクに背中を向ける。

スザクは彼女に何も言わない。

ぽろり、と、ニーナの瞳から涙が零れ落ちる。

次から次へとひっきりなしに溢れ出て、ニーナは必死になって唇を噛み締めた。



…いいな、ユーフェミア様は。

…私もいつか、きらきら輝けるのかな。


(ねえ、スザク。私も、ユーフェミア様に、恋していたの)


…たったその一言がいえなくて、背中合わせのまま、ニーナは嗚咽を堪えた。







きらきら、輝いて
(彼女だけは違ったんだ)


end

小ネタ、スザ+ニーナ。

いつか加筆してきちんとアップします。

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