紅玉

もしも秀麗が劉輝と結婚したら
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(うーん…もしも劉輝様と秀麗が結婚したら?)

紅家の長兄は茶器に茶葉をいれながら、こっそりと想像を始めた。







彩雲国で初の女性官吏となった紅秀麗は、現在彩雲国国王紫劉輝の貴妃である。

現役であった官吏は引退し、表舞台からは離れたものの、彩雲国の柱の一つは現在も彼女だと言っていい。

そんな秀麗は貴妃になってからも、基本的な性格はまったく変わらず、今日もダメ夫(絳攸談)の尻を蹴飛ばして彩雲国を守っているのであった。

「劉輝、起きなさい!もう朝よ!!」

朝議に差し支えそうな寝坊ぶりの劉輝を起こす秀麗は容赦がない。

「…あと少し……」
「少しじゃないわよ!朝議に遅れたらどうするつもりよ!!」

そう怒鳴り飛ばしながら、劉輝がしがみついている布団を無理矢理剥ぎ取った。

今は真冬である。

「さ…寒い!!」

寒さで勢い良く起き上がった劉輝に秀麗は目もくれず、劉輝の着替えをとりに行く。

本来ならすべて女官がやることを秀麗はほとんど自分でやるのであった。

「うー…寒い」

「冬なんだから当たり前でしょ。ほら、さっさとこれに着がえて」

出された服の袖にしぶしぶと腕を通しながら、劉輝はぼそりと言った。

「もう少し優しく起こしてくれても…」

「なんか言った?」

ようやっと秀麗は劉輝を振り返った。

「もう少し優しく起こしてほしい。秀麗は夫である余にちょっと冷たくはないか?」

「貴方優しく起こしても起きないじゃないの」

「耳元で優しく“起きて私の愛しい劉輝”とか囁いてくれたら起きれるのに」

「あのねぇ……」

秀麗はあきれ返った。

誰がそんなことをするか。

「そして起きたら、おはようの口づけがあっても…」

「はい!?」

「だめか?」

なんということを言うのだ、この夫は。

たしかに自分たちは夫婦で、口づけぐらい(夫婦になる前から)何度もしてはいるが。

それはまた別問題だ。




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