紅玉

迷い人は姫と出逢う
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(原因は雷か?)

そう思い、秀麗をなだめようとして挫折する。

あいにく自分は女を慰める行為とやらにはとんと縁がない。

(どうすればいいんだっ!)

かと思えば、秀麗はますます叫び、絳攸にしがみついて離れなくなってしまった。

その時、不覚にも心臓がどきり、と音を立てた。

(落ち着け!この鉄壁の理性、李絳攸がこんなことで動揺してどうする!これは避けきれなかった不慮の事故だ!!鎮まれ俺の心臓!!)

一向に泣き止まない秀麗が、急に咳き込み始めた。

泣きすぎてのどを痛めたのだろう。

背中をさすってあげればいいのだろうか。

(たしかアイツが朝餉の最中に咳き込んだときに秀麗が背中をさすっていたはずだ)

思い出したのは数年前、秀麗が王の妃になった時のことだった。

それを思い出した時、なぜかムッときたことに本人は気づいていない。

そんなことを思いつつ背中をさすってやる。

半刻くらい経っただろうか。

しだいに雨が弱くなり、雷は落ち着いた。

「おい、秀麗。もう雷はおさまったぞ!」

聞こえるように少し声を大きくして話す。

だから頼む、離してくれ。

その声に反応して、ピタッと秀麗が固まった。




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