小説

□ナースの憂鬱
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「桂木、コスプレしようよ」
「は?」



――――ピッチリはりつくナース服。見えるか見えないかギリギリのスカートライン。
そして、その裾を押さえて真っ赤な顔をする桂木。恥ずかしそうに目を伏せている。

「……コレいいね」
「……っ」
「桂木、ナースの格好エロッ」
「匪口さんがやれってぇっ」
「でも嫌がって無かったじゃん」
「そんなわけ、」
「うっそー」
がばっと匪口は桂木をベッドに押し倒すと、そのまま唇を舐めるようにキスをした。
しばらく抵抗を見せていた桂木も、ゆっくりと唇を味わう匪口にほだされていく。
「桂木、顔ほてってるよ?」
「え、」
長いキスにぼんやりしてきた頭では、反応が遅くなるのも仕方のないことだった。
呆ける桂木のナース服の前を、抵抗される前に素早く開ける匪口。
「心臓の音もちょっと速い」
覆うものがなくなった胸に匪口の手が乗せられる。
「やっ、だめ……!」
自らの胸がさらされてしまったことと、そこに匪口の手が触れたことに動揺する桂木は、ハッとして匪口の腕を押し退けようと身をよじる。
しかし、やわやわと小さな胸を揉む、匪口のその手のせいで、力が抜けて思うようには身体が動かせない。
びくびく身体を震わせる桂木に、匪口は言った。
「じゃあ注射、しよっか」
「ひゃ、ぁあんっ」
今まさに、二人が繋がろうとしているのを身体で感じて。びくっと身体をこわばらせたが、匪口はお構いなしだった。
「ひ、はぁっああっひぐちさ、悪趣味……ッ」
「あはは、桂木だって楽しんでんのに。悪趣味だって、ひでー」
「ぅああっ、ん!やっ、やだぁ動かしちゃ、やぁッ」
「感度いーじゃん。やっぱり普段より興奮してるでしょ?」
「はぁっ……ん、あぁ!ちがう、そんなんじゃない……っン、やぁあああんっ」
「たっぷり薬、注いであげるね?」



「って、感じで」
やらない?と匪口は至極真面目な顔で、桂木に尋ねた。
その直後、
「っやるもんですかーー!!」
鼓膜がやぶれるのではないかと言うような、桂木の絶叫が響いたのだった。
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