小説

□どんな顔して会えば良い
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「ハデス先生、藤くんまだ寝てますか?」
「あ、アシタバくん。うん、まだ寝てるね」
「もうお昼なのにな〜」

アシタバと、先生の声。
保健室のベッドで寝ていた俺は、ぼやけた意識の中で、二人の会話を聞いていた。
もう昼、か。
アシタバ迎えにきてくれたのか。せっかくアシタバが来てくれたんだったら、教室行くかな、と思って体を起こそうとしたら。
「や、先生……っ!」
「嫌?」
アシタバの焦った声と、先生がふふっと笑う声が聞こえる。
「嘘でしょう、アシタバくん。ねえ、ココは素直だよ」
「ふぁ、ひゃぁ、せん、せえぇっ」
理解がおいつかなくて、俺は固まった。
ちょ、ちょっちょ、ちょっと待て……!!何やってんだ、あいつ!
ロリコンかよ。つーか、ショタコン?とりあえず、何してやがる、セクハラ教師。
なんだか、そーいう感じのアシタバの声が聞こえてきて、物凄く焦った。
やべえ、出るに出られない。
ギシ、と二人がいるであろう隣のベッドが鳴るたびに、自分の心臓の音が大きくなって、他の音が聞こえないんじゃないか、ってくらい。体中の血が、頭に集まってるみたいだ。

しばらくしたら、ぐちゅ、なんて……なんつーか、卑猥な音。
「んん、ぁっせん、せ……」
「スゴイね、やっぱりアシタバくんは淫乱だ。ほらもう、僕の指、すっぽり入っちゃってる」
あんの変態……っ!?
くそ、見えないから、余計……。
想像している自分にも、アシタバに手ェ出してるあの変態教師にも、物凄く腹が立った。

喘ぎ声が、耳に張り付く。
「藤、くん……」
アシタバの声で俺の名前が呼ばれた事に、 びくっ、と反応してしまった。
しばらく耳をすませていたけど、俺の方のベッドに近づいてくる様子は無かったから、起きてんのがバレたんじゃ無かったみたいだ。

「ん、藤く、……起きちゃ、ぅ」
「大丈夫、アシタバくんが声出さなきゃね」
馬鹿野郎。もう起きてるっつーの。
「あぁっ、ん、んぅう、ふ、藤くんがっ、ぁああ藤く……っふあぁあんっ!」
「あれ、イっちゃったの?アシタバくん」

アイツが、俺の名前を呼んでイくから、俺とヤッてるみたいな錯覚に陥って。
「俺の名前、……呼ぶなよ、ッ」
アシタバ……!
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