小説

□サア、オレガマモッテアゲマショウ
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「はっ、はぁ、……ごめ、っな……さ「はぁ?」
ガンッ、と頭を蹴り飛ばす。
周りは血であかい。まるで、ハジメからこの色だったかのように。
「何殴っちゃってんの?お前なんかがゴンに触る事自体許されねえっつーの」

本当ハ、オレモ。

「すいませ、謝る、からっ」
「だからぁーお前に話かける資格とかねえの。…………なのに殴るって」
アハハ、と笑ったら、そいつの顔は、ひきつった。
「ねえ、ホントありえない」
言いながら、指を掴む。
「聞いてる?ねえ?お前さ、」
「聞い、……やめ、い、あぁあァア゛ァ゛あああ゛ごめ、や、めて……くだ、ああァ゛ッ」
ギリギリとその指は本当は曲がらない方に曲がっていく。ボギン、と鈍い嫌な音がした。
「あがぁああ゛……っ――――ッッ、」
「うるさい」
口の中に、その辺に捨ててあった紙を詰め込む。
「はは、これで静かだ」
今度は、腕を持つ。するとそいつの顔は、恐怖で歪む。俺は自分の口の端があがっていくのを、感じた。
「――――ッ、!!っっ、んぐっ、ん゛ん゛ン゛……!」
そいつが見開いた目から、涙。
泣いて意味なんてないのにさ?ねえ?
「ツライ?でもしょうがないよね、ゴンを傷つけたから」
「ッ、」
「でもアンタは殴っただけだ、だから良いよ。……もう、苦しまなくて良い。…………殺してアゲル」
ブチン、と頭をもいだ。
ブシャァアアアと、もぎとったそこから、血の噴水。
それを体で浴びながら。微笑む。

ゴン、ゴン。
オレガマモッテアゲルカラ。
ダイジョウブ。
オマエハイママデミタイニワラッテ。

でも。
俺もきっと、ゴンの傍にいちゃイケナイ人種。
だけど、……居たいと思ってしまう。強く願ってしまう。――駄目なのに。そんなの許されないのに。

ぎり、と自分の腕を握って、力を込めた。鮮血が伝う。

まだ、一緒に居たい。

赤い血が、俺の腕から離れて、落ちた。
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