10/22の日記

16:01
無双 義トリオ
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※現パロ



「三成!幸村!聞いてくれ!」
「…どうした兼続」
「何かあったんですか?」
「それがな、昨日景勝様が…」

ああ、また"景勝様"関連の話か…
三成と幸村は思わず顔を見合わせ、同時に溜め息を吐いたのだった。

ただでさえ話の長いことでよく知られる直江兼続だが、彼が何故か"様"付けをし、慕っている上杉景勝のことになるとそれがことさら酷くなることは周知の事実。そしてその被害を主に被るのは彼の親友として知られる石田三成と真田幸村の両名なのである。
そう、彼等は兼続の話の長さを知っている。そして兼続の"景勝様"に対する依存度の高さにも、勿論気づいている。というかぶっちゃけここで話を聞いてやらないとこの男は狂乱して"これも義の為だ!"とか言いながら景勝のことを刺しかねない。
そんな最悪な結果は流石に避けてやりたい。景勝のために…そして何より兼続自身のためにも。

こうして兼続の優しい友人二人は今日も今日とて、彼の長話に付き合うことになったのだ。

すると兼続の話が始まった途端かち。と何かを押す音がした。…幸村が手に持ったストップウォッチのスイッチを押したのだ。
それを見た三成は可愛い顔をしてやることがえげつないと苦笑する。なんだかんだで三成は後輩である幸村に対しては色々と甘かった。じゃないと普通は今の所業に対して苦笑程度で済むはずがない。
するとどこかでその優しさを俺にも分けてくださいよ、という情けない恋人の声が聞こえたような気がするが、気のせいだろうということにしておく。


そして気づけば三時間を経過し、

「その時景勝が猿に対して微笑まれたのだ!私にではなく、猿畜生に対して!それだけではない、昔からあの方は……」

幸村の手の内に収まっているストップウォッチの数字は今だ、止まることを知らない。



で、結末というか…今回のオチなのだが。


「…あんたら何やってんですか」

そろそろうちの殿返してもらえますか?と苛立ちを露にしてやってきた三成の恋人である島左近の助け舟によって今回のところは救いを得た。
その時三成が見せてくれたあの微笑みを、左近は生涯忘れることはないだろう。それほどまでに、あの笑顔の破壊力はすごかった。(というかきっとあの時の三成には左近が神様のような高貴な存在に見えたのだろう)
普段はただの烏賊程度にしか兼続のことを認識していなかった左近だが、今回のことを期に少し見直してもいいのではと思いもしたが、所詮烏賊は烏賊なので思いとどまることにした。

それと、これは余談だが…幸村のストップウォッチは軽く540分をこえていたそうだ。

「左近さんが来てくれて良かったです。あの時もし、あと5分でも話が続くようだったならば私は大切な友人を一人喪っていたところでした」
「…ええ。俺もそれを聞いて迎えに来て本当に良かったと思います」

可愛らしい顔をしてなんてことを言うのだろう。思わず背筋がぶるりと震える。それは勿論寒いとかじゃなくて、末恐ろしい的な意味で。

そもそも三成が左近から"殿"と呼ばれて反発しないのは今回が初めてのことであった。(普段なら「殿と呼ぶな!」と鋭いツッコミが飛んでくる)
それほどまでに、精神的負担が大きかったということか…
今日の夕飯は三成さんが好きなものにしてあげよう。左近はそう固く決意した。



「景勝様…景勝様ぁぁあ」
「……呼んだか?兼続」
「っっ!!?」
「…頼むから白目を剥いて驚くな。まるで物の怪のようだぞ」
「かっ景勝様…!何故こちらに!?」
「帰りが遅かった故、迎えに来たのだ…が、どうやら遅すぎたようだな」

そう言って無表情だが、どこか申し訳なさそうな色を端整な顔に浮かばせながら、来るのが遅すぎた景勝は疲れ果てた姿の三成達を見遣る。
確かに…あと少しでも早く景勝が迎えに来てくれていればこの惨状は起きなかったに違いない。

………まあ、今回は全て愛による愛のための惨劇だったということで!



「よく言いますよねえ、結局兼続さんが勝手に一人で暴走して結局勝手に一人で自己完結してしまっただけでしょう?」
「こらこら幸村。本当のことを言ったら駄目だろう」
「ああいけない、ついつい口が滑っちゃいましたー」

「あなた方を今この瞬間を以って絶っ対に敵に回したくないと心から思いましたよ俺は!!」

お蔭様でさっきから左近震えっぱなし!勿論武者震いとかそんな大層なものじゃない、ただ怖いだけ。


あとこれはおまけとして補足しておくが、三成はその晩、ハンバーグを夕食にと左近へ要求したそうだ。




(これが日常茶飯事)



end

渚からのリクエストです。

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