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□だって月から来た宇宙人なんですもの
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吸血鬼にとって吸血行為とは人間でいう食事と似て否なるものである。


「人間は本来、栄養を摂取するという名目で食事を取るものなのだよ。まあ娯楽として楽しむ点では双方重なるところがあるかもしれないがな」

だが根本的なところでこの二つは異なっている。そう、全く別の次元のものだと言っても過言ではなかろう。
そもそも貴様等人間達が勝手に"吸血行為"を"食事"と解釈している点からおかしいのではないか?


「……我々吸血鬼にとって吸血とは本来、血だけではなく生命そのものを吸い取る行為なのだぞ?」

まあ私や真祖達はそのようなことをしなくとも不老ではあるのだがな。まあ元々真祖が娯楽の一貫で人間の血を吸ったのが幸だったのか不幸だったのか…それは流石の私でも計り知れんよ。
だってそうであろう?自らの手で使徒を創り、救われた真祖もいれば逆に創った使徒に裏切られ、消滅した真祖もいる。率直に表現すれば有象無象というやつだ。
まあ結論を言うと、人間からしてみれば我々のような化け物は悪にしか見えないだろうが我々化け物からしてみれば自分達は当然、正義となる。うん、こういったことはだな、ほんの些細なことでもよくあるものなのだよ。貴様等人間が同種族同士で今だ争っているのもまた、その一つなんだろうしな。
まあ、纏めればあれだ。キリがない上に、終わりがない。
メビウスの輪ってやつだな。


「あー…うん、そうね。その話を聞いて俺も一つだけ分かったことがあるわ」
「ほう?なんだ、申してみよ」
「お前みたいな奴を"電波"っていうんだろうなって」

一体何をどうすれば吸血行為の説明からメビウスの輪へと到達するのだ。






(だって月から来た宇宙人なんですもの)



end

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