曽妹
□サマーグラフィティ
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ジージーと焼けつくように聞こえる蝉の声。
聞いているだけで暑くなるこの声は、きっと僕をイラつかせるために存在しているようだ。
そして、隣にいる全く汗をかいていない爽やかサド男は、
君には汗腺というものが無いのかい?
と質問したくなるくらい涼やかな顔をしていた。
「曽良くんあづい……」
「知りませんよ」
「汗かけよバカ」
「僕元から汗かかない体質なんで」
フン、と勝ち誇ったような鼻笑いが聞こえた。
上から見られているのがなんだか腹立たしかった。
「なんなら僕の体温移してやろうか?」
「やれるもんならやってみてください」
また適当に流された。
………ムカつく。
「曽良このやろう」
思いきって抱きついてやった。
「……どうしました?暑さのせいで頭沸いたんですか?」
冷静に聞こえるけれど、ちょっとだけ焦っているのが分かる。さっきから曽良くんの心臓がバクバクいっているからだ。
……僕もだけど。
「僕は沸きましたけど」
曽良くんが低い声で呟いた。
「……は?」
その言葉の意味を理解するのに時間がかかった。気づくと周りが真っ白に、あれ?真っ黒だったかな?
とにかく意識が飛びそうになった。
分かったのは唇の感覚だけ。数秒静止したあと、あまり聞き慣れない、初めて聞く音がして、唇の感覚がなくなった。
我に返って目を見開くと、さっきまですぐ目の前にあった曽良くんの顔は、さっき座っていたところに戻っていた。でもいつもと同じ無表情は、少しだけ……なんか腹立たしい顔をしていた。
「そ…曽良くん今のって……」
「いや…夏はいろいろハジけちゃう季節でしょう?」
「ええええ!!僕初めてだったんだけど!」
「僕もですよ。まぁお互い良い経験ができたじゃないですか」
めったに見ない曽良くんの笑顔を見て、僕の顔が熱くなったのは夏のせいだ。たぶん。
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このサイトの曽妹の初ちゅーですよ!!
青春とは病気だね。
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ちなみにこの話のタイトルは、
サマーグラフィティ
/鏡音レン(れれれP)
から来てます。
ツンデ恋歌のあの方の曲です。興味のある方は是非聴いてくださいな。