春風
伯爵邸の庭で休憩していると、リディアさんがやってきました。
「あらレイヴン、何をしているの?」
「休憩です、エドガー様がたまにはお前も休憩をとれとおっしゃられたので」
「そうなの…。ねえ、隣に座ってもいいかしら?」
どうぞ、というとリディアさんは嬉しそうに隣に座りました。
…どうして嬉しそうな顔をなさるのでしょう…?
これまで私にこんな笑顔を向けてくれた方はリディアさん以外いません。
(流石エドガー様の選ばれたお方だ)
エドガー様もこんなリディアさんだから好きになったのだろう
そしていずれはご結婚なさる
…何故だろう?お二人がご結婚する事を考えたら急に胸が痛んだ。
(なんなんだろう、これは)
今まで感じた事のない胸の痛みに戸惑う。
この気持ちがなんなのかは分からないが
お二人が幸せに暮らしていけるようにこの平和を守っていこう
そう心に誓った
庭に穏やかな風が吹いていた、ある午後のお話。