-甘い甘い月明かりの夜に-
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サクラの事が
本当の事がどうかは別として
多少の期待があったから
ついつい顔が緩んでしまう

いやいや
そもそもあれだよね
あいつ今日夜番任務あるって
言ってたしね

時計を見ると
22時ちょっと前

「まあいっか。」

とりあえずなんか食べようと
キッチンへ足を運んだ











はい、やっぱり来ないですよね←





23時半頃
お腹も満腹になったところで
イチャパラの続きを見ようと
ベッドに横たわり
しおりを挟んだページから目を通す

まあ、本人から来るなんて
一言も言ってなかったんだから
期待するだけ無駄無駄

再び時計を見て
小さく溜息を付いて
イチャパラの続きへと目を向けるがー…

コンコンと音がして
俺の至福の時を妨げる

「ん?」

窓側からか、と首を向けると
人影がひょいっと現れた

まさかと思い反射的に窓を開けたー





「…先輩っ!」





聞き慣れた声が
秋の風と共に入ってきて
そっと頬を掠った

「うわっ!」

「お邪魔しまーす!」

栗色の髪が靡いて
図々しくも窓から侵入した
一人の男






…え、え、えええ!!!


サクラの言った通りテンゾウが!
テンゾウが来た!
嘘でしょ!夢?これ、夢?

いやいや落ち着こうか

それより…待った!

「ちょ、テンゾっ、何で窓から!?」

そう、玄関からじゃなくて
窓から入って来ようとしたテンゾウ

「だって、間に合わなさそうだったんで、」

アーモンド型の大きな目が
ゆっくりと向けられて
薄い唇が小さく開いた





「おめでとうございます。先輩。」





ぎゅっと胸が痛くなって

もう何で窓から入ってきたのだとかとか
そんなのはどうでも良くなった

「ありがとう。」

にこりと浮かべた笑顔は
もうにやけてて





若干疲れ気味なのか
額にうっすら浮かべた汗を拭きながら
またも可愛いらしい笑顔を
見せるテンゾウくん





だけど





「あ、先輩
ケーキ買ってきました☆
一緒に食べましょ?」





なにこいつ嫌がらせ?





.
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