鹿

-空いた隙間-
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パチンッ





『ん−…シカマルさあ
も−ちょっと手加減
してくれないかな。』





今日の任務はシカマルと
同じ小隊での任務だった

今は俺の家で
シカマルに一局
付き合ってもらってる

アスマが強いって
言ってたから
どれほどかなって
思ったけど

2分もしないうちに
手が詰まった

『手加減無しって
言ったじゃないっすか。』

まあそ−なんだけど






『ねえ、シカマル。』





パチン





一度止めてた手を
再び将棋盤に延ばした





『なんすか?』





俺が打った場所から
すっと目線を
俺に向ける





『煙草。辞めたの?』





アスマが
亡くなってから
けして手放さなかった
煙草

だけど

暁から敵を取ってから
吸ってるとこを
見たことない



『俺元々嫌いなんで。
やっぱあんなのが
美味いとか
思わないっすね。』



苦笑いしながら
そう答えては駒を握る



煙草…



あいつの煙草の
煙りがすごくて
噎せながら
将棋の相手をして
あげた事を思い出す

ま、あいつには
結局一回も
勝てなかったけどね





『王手。』





パチン





『ちょ…』

なんて考えてるうちに
決着が着いた





『ま、参りました…』





何この子…強…

『先生。アスマより
弱いんじゃないですか?』

にっと笑って
勝ち誇った表情

うっ、ばれてる





『もう一回!!』





なんとなく





打ち方とかアスマに
似てる気がする





玉を庇ったような
打ち方というか

捨て駒といい
犠牲駒といい…





『…じゃあちょっと
ハンデあげますよ。』






ガシャッ

そう言って将棋盤から
自分の駒を拾う



この子相当
将棋好きなのね



任務の時と
全然顔違うし

まあ誰だって
任務の時と普段の顔は
違うだろうけど

一生懸命駒を
片付けてる姿が
可笑しく見えて
つい手を止めたまま
その姿を眺めてた



.
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