鹿
□-君の好きな人は誰ですか？-
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｢ゲンマさんっ!｣
｢………｣
｢…あの、｣
直ぐに追い掛けたためシカマルは
ゲンマの腕を掴んで呼び止めた
ゆっくりと振り向く相手の表情は
無表情で何も言おうとせず
全く読み取れないゲンマを見て
心臓が押し潰されそうになる
いや、元々なにを考えてるのか
解らなかった、
それどころか解ろうともしなかった
何を考えてるのか考えるのも
めんどくさいからと言うのもあったが
何処かでシカマルはこの人と
自分が釣り合わないと感じ
踏み込むのが怖かったのかもしれない
｢おー、モッテモテの
シカマルくんじゃねーか。｣
｢…っ｣
｢そんな人気者が俺に何の用だ？｣
くわえ千本を噛み直せば
ギリ、っと音を立てた
その様子からかなりの御立腹の様の様で
言い訳など効かないと解っていたし
謝るしか考えが無かったシカマルだったが
相手への誤解、ほんとの気持ち、
ぽっかり開いた胸の穴を埋めるべく
真っ直ぐゲンマへと目を向ける
｢…俺が、俺が好きなのは
ゲンマさんだけで、す｣
｢………｣
途切れ途切れに聞こえる
真っ赤になって
目尻に小さく光るものを
溜めたシカマル
精一杯伝えたかった気持ち
｢駄目。｣
｢………ッ｣
冷たく放たれたその言葉に
シカマルの喉が詰まった
｢敬語とさん付け禁止。
じゃないと許さん。はい、もっかい。｣
思わぬ注文にぽかんと口が開いたままの
シカマルだったが言われるままに、と
再び真っ直ぐとゲンマを見上げた
｢ーッ、俺が好きなのは
ゲンマだけだから、｣
｢………｣
普段好きだなんて言わない
だけど今回ばかりは
街中だろうが関係無かった
頬を赤く染めて沈黙から
逃げたくて俯くシカマル
ふわり、
温かくて何故か安心した
まどろっこしさから
垣間見る緊張が解けたかと思えば
気付けばゲンマに抱きしめられていた
｢…ッ｣
｢まあ、お前が秘密にしたくて
ああいう風に言ったのは解ってんだ。
悪かった。｣
｢ゲンマさんは何もーッ｣
｢…つい意地悪し過ぎたよ、｣
｢…ゲンマさん…｣
｢………｣
｢………あの、｣
｢…どうした？｣
｢…えと｣
｢…？｣
｢ナルト達が見てますって、｣
｢………え？｣
-君の好きな人は誰ですか？-
(怪しいと思ったけど
まさかシカマルとゲンマさんが…)
(ショックだってばよ!)
(わりーな!シカマルは
俺の事好きなんだってよ!)
(ちょ、ゲンマさん、)
(ほんとの事だろ？)
(………はい)
end
(あとがき→)
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