鹿

-君の好きな人は誰ですか?-
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よ、っと笑いかけるゲンマに
シカマルの心臓は再び跳ねる

何を隠そうシカマルとゲンマは
親密な関係であり恋仲であるのだ

しかしシカマルはその関係を
公開しようとはせず
内密にしてくれ、とゲンマに頼んだ

最初は抵抗があったゲンマだが
愛しのシカマルがそうしたいのならば、
と了承した

先程のナルトの質問も「いない」
嘘を付いてしまったことに
胸が痛んだが、ここで素直に答えれば
非常にめんどくさい事になると
判断した彼の考えは吉か凶か

「なんの話してたんだ?」

「シカマルに好きな人がいるのか
聞いてたんだってばよ!」

素直過ぎるナルト回答に
シカマルは青ざめ、
ゲンマの顔は一瞬だが引き攣った

「おー、直球だな。」

「シカマルが好きな奴なんて
いねーって言うから
チャンスだと思って
これから一楽にでも行こうかとー…」

「ナルトォ、てめェしつけーよ!
シカマルは今日このあと
うちで夜飯食うんだよ!!」

「んな事さっき一言も
言ってなかったじゃねーかよ!」

「………」

言葉が出ないシカマルに対し
ゲンマはポン、と肩に手を置いて
やんわりと笑ったー…





「ふーん、
お前好きな奴いねーんだ。」





「ーッ、」

「モテモテだな、良かったじゃねーか。」

笑顔、だが何処か
冷めた口調でそういい放つと
三人から背を向けるゲンマ

ゲンマは解っていた

解ってはいたものの
非常に腹が立った

好きだ、とは中々言ってくれなくとも
彼の不器用な行動を見れば解る

目が合う度に
少し頬が赤く染まったり
普段は仏頂面してる彼が
ベッドの中では甘えてきたり

その一つ一つ肌で感じ実感し
自分を好きで居てくれてる事は
十分に伝わっている

しかし昨日も二人仲良く夜を
過ごしたのにも関わらず
「好きな人なんていない」と言われ
まるで自分を否定された様な気がして

解ってる、シカマルが関係を
内密にしたがってるのは

上忍であるゲンマと
中忍とはいえ
まだまだ忍者として日は浅い
シカマルが恋仲だと
上の者や里の皆に知られたら
どう思われるか

シカマルはそれを予測して
子供ながらにゲンマに気を使っていたのだ

しかしこの場合どうだろう

目の前で関係を否定された挙げ句
その恋人が他人に
言い寄られてるではないか

これには普段優しいゲンマも
苛立ちを感じた

「………あれ、ゲンマさん
行っちゃったってばよ、」

「俺達と違って忙しいんだよ、上忍は。」

ナルトとキバの勝手な解釈も耳に入らず
シカマルは呆然とする

「…どうした?シカマル。」

「…わり、」

ガタンと音を発てて立ち上がる
シカマルの声は何処か震えていて





「…ちょっと行ってくる。」





一言そう残して食べかけの団子と
友人二人を置いてゲンマの後を追った





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