鹿

-罪のない白肌に赤い証を-
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「…あ、カカシ先生!!」

図々しくもシカマルの腕を
引っ張りながら
ナルトが1番に待機所から出てきて
俺の所有物を掴む腕に
一瞬顔を歪ませたけど

「…あ。」

いつもよりだるそうな態度の
シカマルが待機所から出てきて
俺の顔を見るなり
ぱあっと表情を明るくした

あ、可愛い
もう皆の前で口塞いじゃおうか
なんて思ったけど
いつまでも掴んでるナルトの手が
気に喰わなくて我に戻った

我に返って平然を装い
にこやかに微笑んむ

「どうも煩いと思ったら
ナルト達だったのね。」

偶然通り掛かった振りをすれば
誰ひとり伺うことなく
歩み寄って来るサクラやサイ

「…先生、今日休みじゃー…」

サクラがなんでここに居るんですかと
言わんばかりの顔をして俺に尋ねてきて

まあ、今日のナルト達の任務は
テンゾウに任せっぱだったし
確かに俺は休みを貰ってたけどー…

「綱手様に呼ばれちゃってね、」

「それとー…」

ナルトが掴むシカマルの腕を睨んで
再びにこやかに恋人でもある
シカマルへと目を向けて微笑む

「?」

小さく指を指して一言

「シカマル、お前も呼ばれてたよ。」

勿論、嘘

その腕からシカマルを解放したくて
周りの同期達の視線を妨げたくて
こいつを独占したくて

理由は色々あったけど
1番はー…

「ま、まじっすか、」

「うえー…可哀相、シカマル…」

「綱手のばあちゃん、
容赦ねーってばよ…」

「ほら、行くよ、シカマル。」

「…うお、…っ」

ナルトやキバ達が残念そうに、
いのやサイは哀れんだ目で
シカマルを見つめてたけど
それを無視してナルトから
解放された腕を強引に掴んだ





1番の理由はね

二人になりたかったからなんだよ





「シカマルー、
終わったら俺ん家集合なっ!」

「待ってるぜー!」

「おう、」

大人のくせに子供みたいな
身勝手な行動に出た
俺に対しての憐れみと
今日こいつを独占出来るという
独占欲に浸りながら
同期達が叫ぶ声を背にふ、と微笑んだ



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