鹿

-空色メランコリック-
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「あ、こんにちは。皆さん。」

上から声がして
はっと顔を上げれば
暑苦しい室内にも関わらず
気持ち悪い程爽やかに笑ってるサイが居た

…っつーことは

「あーシカマルー!チョウジも!」

「あっいのー!」

ですよねー、
サイ一人でこんなとこ
来るはずないですよねー

長い金髪を靡かせて
ひらひらと手を振って登場してきた
いのに

「ナルトにキバじゃない!」

「サクラちゃーん!」

サクラまでも珍しく
今俺らの居る焼肉Qに来やがった

体型に五月蝿いいのが
昼間から焼肉なんてのに
食いにきたのは恐らく
サイ目当てで

サクラはサイと
任務かなんかだったんだろう

と適当に解釈してたけど

「シカマルくん、隣座っていいですか?」

「サイってめー俺とシカマルの間に
割り込んで来るんじゃねェ!!」

「ナルト。空気読んで下さい。」

「んだとコラァ!!
てめーこそ空気読め!!」

「…ナルト!!五月蝿いわよ!!
サイも!!そんな狭い所座ってないで
こっちのテーブルに来なさい!!」

「サイくんはあたしの隣ー★」

あーあ、ナルトもサイも
そうですかそういう事ですかはいはい
薄々気付いておりましたが

嫉妬ですね、確実に

「…キバ、どした?」

シカマルに声が向けられて
自分の顔が歪んでる事に気付いた

「気分悪いのか?」

「………」

犬塚さんは思いつきました

これはチャンスだと

最高のチャンスだと

「…ああ、実はよ、
こないだの任務で
怪我しちまって…ゲホ、ゴホ」

「怪我って…咳もしてるじゃねーか。
さっきから変だぜ?無理すんなよ。」

………咳はミスです

「ああ、ちょっと
気持ちくなっちまった。
外の空気吸って来るわ。」

こいつの性格上
騒がしい所は嫌いなはずだ

それを利用してー…





「なんか周りめんどくせーし
…五月蝿くなって来たから、俺も。」





「シカマル何処行くんだってばー!!」

「空気悪いから外。」

「すぐに戻って来いよー!」

「キバはトイレ?」

「ああ。」

嘘です





ヒャッホー!
二人きりになろう大作戦成功だぜ★





皆様お気づきの通り
本当は怪我なんてしてねーし
風邪なんても引いてねーし
気分なんてのも悪くありません

外に出ると真昼間の所為か
心地良い風と碧く広がる空が
俺達を包んでた





「…今日は晴天だな。」





シカマルが目を細めて
空を見上げる





気付いてないだろう

俺が故意的に
ただ二人だけに
なりたかったことを

日に日に大きくなるこの気持ちが
自分に向けられてるなんて





「おーシカマルー!!」

「キバじゃねーの?」

…嫌な予感がした

ゆっくり、ゆっくりと振り向く





「…カカシ先生に、アスマ?」





………っくっそおおお!

次から次へと邪魔者があああ!





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