-暁んちゃん(狼さんにはご注意を)-
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「まじクソ鮫ババァ…
俺は人形遊びがしてーんだよ
ソラァアアア!!」

ドゴンドゴンドゴン!!!

愚痴を吐きながら木々を蹴り飛ばす
サソリこと赤髪ずきんちゃん

彼の趣味はお人形遊び

捻くれた性格のせいか
友達もあまりおらず
気付けば人形で一人遊びをしていました

「あー…さっさとこれ届けて帰ろ。」

こうしてサソリちゃんは
お薬と果物の入ったカゴを抱え
森の奥へと歩き出しました






一方





ドゴンドゴンドゴン!!!





「………なんだよ、うん。」

近くでもの凄い音がして
木々で休んでいた小鳥達は
空へ羽ばたきました

同時に金色の毛を逆立てた
狼ことデイダラは昼寝中だというのに
その音に目を覚ましたのです

「確かー…あっちから、」

音のする方へ足を運ぶ狼さん

「…なんだあいつ、」

木と木の間から小さく見えるのは
綺麗な赤髪をした小柄で華奢なサソリ

「へー…珍しいな。
人間が来るなんて、うん。」

ぺろり、と唇を舐め
口角を上げたデイダラ





逃げて!サソリちゃん!
狼が君を狙ってるわ!





「クソババァ帰ったら新しい人形
ねだってやる!!」





ナレーションの声も届きません





そして

サソリちゃんと狼さんは出会いました






「よお。」

サソリのルートを待ち伏せし
平然を装う狼さん

勿論狙いは
可愛い可愛い赤髪ずきんちゃん

「…ンアァ?」

…相当機嫌が悪いのか
初対面の狼さん相手に喧嘩越し

普通にしてたらとっても
可愛いらしいのに残念です

「あんた、これからどこいくんだい?」

狼ことデイダラは
相手を怖がらせないようにと
にこやかな笑顔で微笑みます

「…うるせえ、話し掛けんな。消えろ。」

「………こんな森に
お嬢ちゃん一人じゃ危ないぜ?」

「…邪魔だ。話し掛けんな。消えろ。」

「………」

これはこれは手強い

流石に狼さんも眉を
ハの字にして困ってる様子

「ほらほら!綺麗なお花だせ?好きだろ?
一緒に花でも摘みにー…」

「雑草なんざに興味ない。」

「じゃあ甘いスイーツ食べに行こうぜ☆
ゼツ・アロエシェフが作った
アロエパフェめちゃめちゃ
うめーんだってよ!うん!」

「アロエなどに興味ない。」





「くっ、じゃあ、あれだ!
人形!人形でもぬいぐるみでも
買ってやるから一緒にー…」





見苦しい程無理矢理ナンパを仕掛ける狼

しかし見事に交わされ続けて
本人も諦めかけたのだがー…

「ほんとか?」

「…へ?」

「人形買ってくれんのか!?」

「………、(なんだこいつ…
キャラが一辺してるぞ…うん、)」

先程の生意気な表情が一瞬で消え
目を輝かせて狼に歩み寄るサソリちゃん

まさかまんまと引っ掛かるとは

狼さんは内心そう思ったでしょう




「ああ、そこの茂道の奥に
最近出来た玩具屋さんがあるんだよ、うん」





にやり、と狼さんの口元から
牙が見えました





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