鹿

-飲み過ぎにはご注意を-
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「よっしゃあ!
任務も火影様の長い話も
終わった事だし一丁飲もうぜ!イズモ!」

スリーマンセルのAランク任務を終えて
はがねコテツは大きく腕を伸ばし
隣で歩く神月イズモに声を掛ける

「そーだな。
明日は任務無さそうだし、久々に飲むか!」

「俺ん家の缶ビール
キンキンに冷えてんだぜ!」

「じゃコテツん家で宅飲みだな!」

開放感から二人の表情は
柔らかく見える

「シカマルも来るだろ?」

書類を片手に
欠伸をしていた少年は
しかめっつらでイズモに顔を向けた

奈良シカマル

16歳という若さで
三十路近い先輩二人と
Aランク任務を熟したのだ

その為シカマルは火影綱手から
明日休暇を頂いた

飲みに行くなんて
めんどくさいといえば
めんどくさい

それに

「俺、未成年ー…」

法律的にはアルコールは禁止

それを利用して
やんわりと断る様に仕向けたが
けらけら笑う二人のテンションは
そんな事お構い無しの様で

「関係ねえよ。ばれねえばれねえ!」

「秘密にしときゃー平気だろ。」

ほらいくぞー!と両腕を捕まれ
呆気なく連行されたシカマル

まあ、人間関係も大切だしな、
めんどくせーけどと
思って居ても口には出さず

重い足取りでコテツの家へと向かった





三十路近くの独身の部屋は
以外に綺麗で
八畳程の一間にベッドとテーブル、
小さなキッチンがあるだけの
シンプルな部屋だった

「コテツ、部屋片付いたなあ。
こないだ来たときひどかったしな。」

「はは。掃除したんだぜ。」

綺麗好きなイズモは
コテツの家に来る度汚い、掃除しろ
など言いつつもよく遊びに
来ていた様で

「…おじゃまします」

ずかずかと部屋に入る
同期のイズモと違って
初めて訪問するシカマルは
一応遠慮しがちに部屋に入った

途中それぞれで買った
酒やつまみをドサッとテーブルに置き
肩の重りを抜く様にベストを脱ぎ捨てた三人

「適当に座って。
ビールー!おーあったあった!」

冷蔵庫を開けて
キンキンに冷えた缶ビールを
あまり乗り気でないシカマルと
若干疲れ気味のイズモに
手渡しをしたコテツ

直ぐさま空いてる場所に
座り込んで缶ビールの蓋を開けた

ぷしゅと三つの音がして

「んじゃーお疲れーい!」

泡が零れないうちにイズモの合図で
三人は缶をぶつけそれぞれ口に運んだ

「くーっ!仕事後のビールは最高!」

「生が1番美味いんだけどなあ。」

「しょーがねえじゃんよ。
給料前だし潰れたら帰るのめんどいし。」

「それもそうだな。」

「………んく」

シカマルも二口程飲み込むが
正直この美味しさが解らない

苦みといいなんといい

以前自分の父が飲んでたのを
貰った事はあるがやっぱり飲めない

苦痛にしか感じないその場所で
ただ話を合わせ
早く帰りたいと願うばかりだった



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