鹿

-罪のない白肌に赤い証を-
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(カカシSide)

「シカマル、口になんか付いてるってばよ!」

「…あ。まじで、どこ?」

「だっせーな、ほら、取ってやる!」

「…いつもより更に間抜けな顔で
お似合いだったのに。」

「サイ、気付いてたなら
言ってあげなさいよー。」

「シカマルってば昔っからそうなのよ!
身嗜みも全く気にしないで
いつもめんどくさい
めんどくさいってそればっか!」

「確かに。そうだったよねー。」

「チョウジ、あんたにも言える事よ。」

不意に恋人の名前が聞こえて
ぴくりと反応した俺の体は
火影室に行くはずが待機所で足が止まった





「………うっせえな。
どうでもいいだろ。」





「ほら、すぐ拗ねるしね。」

「確かに言えてるってばよ。」

「ナルト、いの、お前らっ」

賑やかな声は聞き慣れたもので
そこにはナルト達同期メンバーが
楽しそうに会談している

姿は見えないけれど声を聞く限りでは
ナルトとサイ、サクラ、キバ、

気配から感じるのは
恐らく頷いてるだけのヒナタと
興味なさそうにしているシノ

いの、チョウジの笑い声は
待機所の外まで響いてて

「………」

いののスイッチが入ったのか
話題はシカマルの小さい頃の話を
淡々とし始めて
アカデミーの時からつるんでた
チョウジ、ナルト、キバも
思いだしたかの様に昔話に花を咲かせてる

それを面白可笑しく話すナルトとキバに
飽きれ飽きれに
つっこみを入れるシカマルに対して
いのが更にどつけば
待機所からは笑いが湧いた

「………」

あーあ、随分楽しそうじゃないの

別に羨ましい訳じゃないけど
俺もあいつと幼なじみだったらな、とか
同い年だったらな、とか
くだらない事を思っちゃったりして

恋の病の所為だと
冗談混じりの溜息を吐いて
同時に聞こえた唐突の提案に
俺は用も忘れてそのまま
立ち止まって居た

「じゃあ今からシカマルん家行って
アカデミーん時のアルバムでも見ようぜ!」

「さんせーい!
シカマルん家広いもんなー!」

「シカマルの赤ちゃんの時の
写真もあるわよ!」

「つーか、なんで俺ん家、」

「いいから行くわよ!
どうせ暇でしょー!」

「行くぜシカマル!」

「お前らっ引っ張るなってっ!」





ああ、もうそうやって

俺のモノを許可無く

勝手に連れ出さないでよ

触らないでよ





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