鹿

-空色メランコリック-
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(キバSide)





広く真っ青な空を見上げて

溜息息一つ






-空色メランコリック-






俺がこの気持ちを知ったのは
今日と同じぐらい真っ青で
雲一つ無い空が広がってた

アカデミーではそれはそれは
有名な悪ガキ4人組だった俺達

ナルトはそれはそれは
五月蝿くてまあ五月蝿いのは
今も変わらないんだけど
ナルトのする話しはいつも
くだらなくてだけど面白くて
なんだかんだ聴き入ってしまう

チョウジはそんなの
何処に入れて持ってきたんだと
突っ込みたくなるような
大きなポテトチップスを
バリバリ食べながら
ナルトや俺の話しに相槌を打ってて

その横でそいつは

良く解らない本を眺めながら
だけど間に小さく笑ったり
俺達の馬鹿話しをなんだかんだで
聞いてくれていた

そいつが立てた悪戯の作戦は
ほぼ200%成功して
成功した時の達成感や
相手の驚いた顔やびっくりした表情が
面白くて面白くて
毎日の様に4人で馬鹿やったりしてた

だけどそれは
毎日の中で少しずつ変化していて

小さく名前を呼ばれる度嬉しくて
そいつが俺を見る度どきっとするし
そいつが他の奴に笑顔を向けて
話してるとこを見る度
胸が苦しくなった

この気持ちがなんなのか
当時良くわからなかった俺は
何事も無かったかの様に振る舞ってた

だけど

やっぱり苦しくて

ただの友達としてじゃない

「好き」っていう感情を

持ってしまったと自覚した





今だってほらー…





「ナルトってめー!」

「シカマルがぼけっとしてるからだろー!」

「シカマル、じゃあ僕のあげる!」

「おお、チョウジ、サンキュ!」

今だってシカマルが口に運ぼうとした肉を
ナルトが横取りしたことにムっとしたり

大食いのチョウジが優しく微笑んで
珍しくも自分の焼いた肉を
シカマルにあげた事にもイラっとした

「キバ、全然食ってねーじゃん。」

やべ、目の前の肉より
目の前のシカマルに夢中だった俺は馬鹿か

シカマルに声を掛けられてはっとして
白い飯と焼きたてのカルビを口に掻き込んだ

「んな事ねーよ。俺食欲旺盛だぜ。」

ふーんと小さく相槌をして
肉を口へ運んでは美味しそうに
食べるシカマルを見て
こんな時でも
ああ、可愛いなんて思ってしまった俺は
相当シカマルに惚れ込んでるなと
自分でも笑いそうになった





「今日シカマルは
僕んち泊まるんだよね?」





ゴフッ!!!

「ちょ、キバ何してんだってばよ!?
水吹き出して!!」

シカマルがシカマルが
チョウジん家泊まるだと?

いや、今まで何回も何十回も
シカマルがチョウジん家に
泊まりに行ったりしてるのは聞いてるが
(両親が仲いいっつー事はハンデでかい)
目の前で堂々とそんな話しをされると
やっぱり凹むぜ

今は間っ昼間だが
こんな時間から焼肉だなんて
勿論チョウジの提案で
だけど長年の付き合いだ

こんなのはもう慣れてる

ただやっぱり

こいつがいくら幼なじみだからって
チョウジやナルトと
仲良く笑ってる所を見るのは
全く慣れねーんだ





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