-捕獲終了。-
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(我愛羅Side)





「お前が風影かい?…うん。」





それは突然だった

風影という里の長を勤めてから
ほとんど休む暇など無く
やはり息詰まる時がある

たまには気晴らしに
里内を散歩したらどうだ、
そんなテマリの一言に甘えた俺は
その重い空気から
いち早く解放されるべく
里の中心へと足を運んだ


里の者達の楽しそうな声は
平和を表していて
俺はそれを見て何故か胸が熱くなり
しばらくしてその場を離れた

子供達の笑顔
それを見守る大人達

ふ、と空を見上げると大きな鳥が
影となって俺を包み
それはまた快晴な空を写した

ああ、今日も平和だ

そう思うと自然に笑みが零れる





「お前が風影かい?…うん。」





その瞬間、平和は崩されるー…

聞き慣れない声がして
再び上を見上げた

サンサンとした晴れた日
そして此処は砂の国

異常な熱さにも関わらず

その男は赤雲の黒衣を纏い
汗一つ垂らさず平然と笑っていた

金色した髪が静かな風に靡いてて
白い鳥に乗ったそいつは
明らかに俺の里の者ではないと
一瞬で感じた

「…誰だ。」

ぷかぷか浮かぶ白い鳥は
とても生き物ではないと解る
いや、正しくは人工的に造られた
生きている鳥なんだろう

短く言葉を発すると
そいつはにやりと口角を上げ
何処からか何枚かの書類を取り出す

ちらりと俺を見ては再び
書類へと目線を戻した

「砂漠の我愛羅。
身長166センチ、体重50キロ、
AB型、…身長体重血液型、
オイラと全く同じだな、うん。」

「………」

「好きな食べ物、砂肝、塩タン。
趣味サボテン栽培…
ふーん…意外に中身
おっさんっぽいんだな。あんた。」

俺の問いを無視し
ぺらぺらと書類をめくり
一人納得してるそいつ

何処から入手したのか
その情報は全て的確で
口が開いたままの俺の顔を見て
何を思ったのかそいつは再び笑った

「何が言いたい。」

その笑みの意味が解らず
そしてこいつの目的が何なのか
俺には全く読めなかった

里のものではない以上
何を痴れかすか解らない

早めに対処をー…





バサバサバサ





そいつはいきなり
手に持ってた書類を
空から放り出した

俺の上にひらひらと揺れる紙






次の瞬間ー…





「っ!…うわ!」





ドゴンボンボン!!





そいつから放たれた
その紙は

白く光り勢い良く爆発した





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