-毒-
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真っ赤な蠍の毒





真っ白い蛇の毒





どっちの毒が強いのでしょう






-毒-






ザアアアアアー…

酷く大雨が大地に降り注いで
跳ね上がるほどの激しい打ち付けが
森の中の二人を襲う

「…ッこんなんじゃ歩けねえじゃねえか。」

そう舌打ちをして
S級犯罪者の小組織、暁の
傀儡使いであるサソリは言い放った

打ち付けられる雨に対して
多少顔を歪めるものの
平然を保つ真っ白い肌は
蛇の脱皮の後の様に
傷一つ無い綺麗な顔立をしている

大蛇丸

彼は暁という集団を抜ける前
砂隠れの抜け忍
赤砂のサソリという男と組んでいた

「…少し休みましょう。」

中性的な声に反応して
サソリは相手を目で追う

二人が足を止めた目線の先には
小さな洞窟が有った

それは自然に出来たものなのか
若しくは人類によって
造られてたのかは的確には解らない

嵐並の強風と強い雨をしばらく凌ぐのには
調度良いという判断は恐らく正解だろう

ノルマ達成帰りというだけあって
心身共に疲れが現れる中
二人は重い足取りで洞窟に入ると
すぐさま座り込みそれぞれ息を漏らした

「………」





「…おい。」





その赤い髪をした男、サソリは
うんざりした表情を向け大蛇丸に言い放つ

「ノルマは達成した。
雨さえ止んだらアジトに帰るぞ。」

サソリと大蛇丸

特別に仲が良いとも
コンビネーションが良いとも云える
ペアでは無かった

互をお互いに
深く関わろうともしなかった、
というのもあるのだが

そもそも個人戦派の二人は
相手と協力し、助け合いながら
何かを成し遂げるという事など
端から頭に無かったのだ

ただノルマが達成すれば

それでいい

組織上ツーマンセルで
動かなければならないという事で
仕方なく相手と共に
行動してるようにも見える

サソリは最低限、手短に告げると
自らの濡れた衣を脱ぎ捨て
降り付いた雨の雫を払う

「…せっかちな男ね」

大蛇丸はそう答えると
同様に衣を脱いで丁寧に折り畳むと
それを椅子にしてた石へと干した





雨はしつこく降り続け
もう2、3時間は止みそうもない





それを察してか
サソリはそこに横たわり
大蛇丸に背を向けては

「雨が止んだら起こせ。」

と聞こえるか聞こえないかの
大きさで小さく呟く

ぽつり、ぽつり

雨の雫は床へと落ちて
次第に水溜まりを造っていった

雫が出来ては床に落ち
雫が出来ては床に落ち、と
繰り返される同じ動作を見つめなから
こちらも聞こえるか聞こえないか
解らない声でぽつんと呟く





「結構無防備ね…」





更に雨も強くなる−…





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