poem

□記憶
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遠くの声
耳をすませて
いつも通った道を
横目で見る
端にはたんぽぽ
ちょっと奥の
お菓子屋さんを過ぎると
見えてくる商店街
まだどこも開いてない
寂しい風景
嫌なことを考えずに右折
すぐそこにあるのは
見慣れた日常
つまらない時間が
また訪れる
いつもの様に
一番端の席につき
ひとつため息
窓越しに見える桜
春が来た
時の流れなど気にしない
人や場所が変わろうと
どうってことない
自分は自分
何の問題もない
少し疲れたら
何も考えずに感じずに
石になればいい
黒になればいい
空が暗くなって
雨が降る
夕立……?
なんだか雷も鳴り出した
大丈夫
帰る頃には止むさ
自分に言い聞かせる
別に濡れようと濡れなかろうと
どうでもいいが
…案の定なのか
止まなかった
平然と雨の中に飛び込む
濡れた靴が気持ち悪い
恨むように空を見る
どんよりと
ずっしりと空を覆う雲
勝てそうにない
大粒の雨が頬に落ちる
そう言えば
今日も誰かが飽きずに
悪口を言っていたっけ
くだらない
腹もたたない
それどころか哀れになる
可哀想に
賑やかになりだした商店街
敢えて見ずに素通りして
今日も時間の終わりを告げる


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