novel
□ごめんね。ありがとう。
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──ごめんね──
──────────
まだ蕾の花。
もうすぐ桜が咲く。
3月下旬。
私は彼氏の皓暉と一緒に帰っている。
いつもの様に話をして、
いつもの様に笑い会う。
でも今日──
私の心はいつもと違う。
私は今日。
あの人をふる為にここにいる。
「ごめんね。」
そう言う私に、
あなたは「何故?」とは聞いてこない。
そんな所も好きだったけど……
薄々気付いていたのだろう。
私の心の中に……
もうあなたはいない。
他の人が居座っている。
嫌な事があった時、
思い出すのがあなたじゃ無いの。
─偽りは嫌い─
そんなあなただから…
新しい恋が、
絶対に叶わないものだと分かっていても、
あなたとは、
早く。スッパリ。
別れようって決めたの。
「さようなら。」
今思い起こせば、
あなたが私にとっての初恋でした。
丁度去年のこの時期に、
私が告白してOKしてくれた。
でも……
良く良く考えるとあなたは、
私に「好き」とは言ってくれなかった。
結局振り回してしまってごめんね。
……これで終わり。
「好きだったよ。」
最後に小さく言ったあなたの声に、
涙が出る。
本当にごめんね。
──ありがとう。
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