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妄想うんぬん
◆勘右衛門夢、浮気の理由次第 

「ねぇなんでこの前天女様といたの?私と遊びに行く約束してたじゃない。」
「ごめん…」
「私に嫌なとこがあったから?それなら言って?私直すし。」
「違う!そうじゃないんだ!俺、(ピー)さんのこと好きになったんだ。」
「………へぇ」

目の前の男は何を言ってるんだろうか。
ある日突然現れた変な女を好いたなんて、頭がとち狂ったんじゃないだろうか。
慌てて私に弁解する滑稽な姿にどんどん熱は冷める。

「×のことはまだ好きだし嫌いな点がある訳じゃない。ただ(ザー)さんに一目惚れしてしまったんだ。でも好きの度合いを天秤にかけたら×のほうが上だ。本当ごめん!もう(雑音)さんとは二人っきりで合わない!」

土下座までして哀れな男。
女に取り繕うためにそんなことするなんて馬鹿みたい。

「もういいわ。」
「×…」
「だって私のこと好きだし、嫌なところもないんでしょう?ならもういいわ。」
「じゃあ―!」
「別れましょう。」
「……………え?」

元から大きい目を更に見開いてなんだか零れそう。
そんなこと思ったら泣きそうな顔で私の肩を掴む。

「怒ってるのか?」
「いいえ、全然。」
「じゃあなんで!」
「だって一目惚れなんでしょう?私のことが嫌になって天女様と共にいたなら私が悪いと認めるけど、一目惚れなら私はどうしようもないじゃない。」
「っ×のほうがいい!俺は×が好きなんだ!」
「天女様に会った時も頭の片隅でもそう思ってた?」
「っそれは―…」
「今私のことが好きなのは分かったわ。でも好きな私を傷つけてまで天女様と傍にいた時点でお仕舞いよ。私は私を大切にしない人とは添い遂げる気はないの。」
「ごめん!直すから!もう×を傷つけないから!なぁ別れるなんて言うなよ!」
「一度でも裏切ったら信じれないわ。それに一目惚れなんて私がどうしようも出来ない理由なら尚更、ね。」
「×!」
「さようなら。」

離れようとする私に嫌だと首を振り、痛い位抱きしめる勘。
ふぅ、とため息を吐いて首刀を入れる。
悲しそうに私の名前を呼んで崩れる彼を見つめる。
馬鹿ね、忍びなら何時でも警戒しなさいよ。

「それに名前の聞こえない女を好くなんて得体が知れなくて怖いったらないわ。」

雑音が混じる会話は全く持って耳障りだわ。
早く消えて下さらないかしら、あの女。

2012/02/19(Sun) 13:03

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