振り

□きみのすきなひと
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梓くんが大学行ってる間に掃除をしよう!と思っていろいろ拭いたり掃いたり出したり入れたりしていたら、


懐かしいものが出てきた。


タンスの奥深く、クリーニングの袋にいろいろひとかたまりの状態で発見されたそれ。
一瞬なにかわかんなかったっ。だって紺色の塊にしか見えない。


「わー」


西浦で着てた制服。中学でも着てたけど!

胸がきつくてブラウスだけ変えたんだっけな。
中学で着てたやつは真ん中のストライプが可愛くて好きだったから、残念だったけどね。これは…、胸で選んじゃったからだいぶ肩幅あまってたなー。
そっか。わたし捨ててなかったんだ!なにかすごく感動だよ。
わー。懐かしいなー。若かったなー。

あのころは、まだ宿題がたくさんあって勉強もたいへんで…。
梓くんと知り合ったんだよねー。
わたしの片思い。
泣いて宇宙語を話すわたしに、優しくしてくれた梓くん。心臓がギューってなって、涙もとまっちゃった!


……。



ちょっとだけ、ちょっとだけね。


着てみよっかな。なーんて。
……。
う、うーん。

わたし以外誰もいない部屋で、意味なくキョロキョロしたみたりして…。うん。誰もいないね。誰もいないよ。


おっしゃーっ。着てやる!夏服の方!

決意して、ブラウスとスカートを掴んで、姿見の前に大股で歩いた。







おおぴったりじゃねーかわたし!ウエスト怖かったけど、やっぱり大学のサークルなかなか体力いるからね。うんうん。読書サークル万歳だよ。
鏡の前でいろいろポーズをとってみたりしてみる。



(ど、どうしよう楽しくなってきたぞ)
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