振り

□きみのすきなひと
2ページ/10ページ










なんとなく、今日はつまらんかった。

特に何がって聞かれたらあれだけど、そういう無駄に感じる時間を繰り返すと憂鬱になる。つまんねー講義とか人間かんけーとかバイトとか…。
そんなもんより、今このときしか出来ねぇもんがたくさん在るんじゃないかって…たまに、思う。高校とか、やっぱすげー楽しかったしいろんな後悔もあったし、とにかく充実してて。(ホント、若さに物言わせてたな)今、その楽しい時間の続きと後悔したことのやり直しとか、出来るんじゃないだろうかって。あぁ。まだまだ俺、青いな。って感じる思考回路。

まあ、大切なもんはあんまかわんねーけど。

オートロックのマンションにななと暮らし始めて…あ?もう半年経つっけか。たしか、お互いまだ二回生でくそさみー日に引っ越してきたんだっけ。
前の賃貸は七畳のインターホンなしでなながいっつも訪問客に「どなたですか?」の一つも聞かずにドアを開けるもんだからヒヤヒヤしてた。独りで留守番させらんねーじゃん。


「はー」


あー、ダメだ。ななと高校時代を一緒に思い出すとマイナス作用しか起こんねーの忘れてた…。あいつと出会えて良かった。付き合うことんなって、すげぇすげぇ嬉しかった。部活も恋愛も充実してて俺すげーとか本気で思った。

けど、…。
どうしても拭えねんだよ。初めて、俺がお前を抱きしめたいって思ったのは、お前が、あいつの為に泣いてたときだから。


湧き上がる黒い感情をそのままに俺は帰路についた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]