「でね、ようこちゃんにものすごく怒られたんだ!」 「…。なんつーか、お前らほんと仲良いよな」 「でしょっ」 扇風機をつけて、座って、いろいろ話して、出してもらったお茶を飲んで。隣に座ってる花井くんはやっぱり優しくって…。 あれ?なんか、ん?あれ?わたし、なにか、忘れて…。 「はないくん…」 「ん?あ、茶ぁなくなったな」 すぐ持ってくっから、と立ち上がろうとする花井くん。 そうだ!テストだよテスト!前も前の前のテストも返ってきたらすぐ点数教えあっこしてたもん!(前々回のテストは酷かった!)わたしほんっとに英語出来ないから花井くんにすごく心配かけてしまって、面倒みてもらってしまって。だから、いっつも結果は花井くんが聞いてくるのに。 扉に手をかける花井くんを引き留めるように言葉が出た。 「テスト…」 あれ?なんだ?はないくんかたまってる。なんで?なんで気まずい空気なんだろ?わ、わたしまたなにか…あ!まさかまさかまさかまさか! 思い立ってベッドに放り出された花井くんの鞄をつかむ。出て行こうとしていた花井くんが勢いよく振り返って「ぐぁあっ!」となにか呻いて花井くんのおっきな手がわたしを掴もうとする。けど、ベッドまでの距離は花井の運動神経を考えてもわたしのが余裕だ!それにわたし知ってます。花井くん、優しいので強くわたしを掴みません。巧みにかわして花井くんの答案が入っているであろうクリアファイルを引っ張り出してそこからテストをするーりと抜きました。「こらっ!やめ、」と青くなる花井くんに少し心が傷んだけど今の好奇心には到底かなわず。 (ごめんね!) |